【謎に包まれた紫式部の生涯が浮かび上がる!】大河ドラマ「光る君へ」で注目の紫式部――家族は?道長に期待された役割とは? 国文学研究の泰斗・伊井春樹氏による選書『紫式部の実像』発売

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紫式部はなぜ道長に長男頼通と具平親王の姫の結婚の仲人役を頼まれたのか。知られざる紫式部の真の姿を文学、歴史学などさまざまな資料から浮かび上がらせる――。

『源氏物語』研究を専門とする国文学研究の泰斗、伊井春樹さんの新刊『紫式部の実像-稀代の文才を育てた王朝サロンを明かす』(朝日選書)が2024年2月9日(金)に発売されました。藤原道長との関わりに焦点を当てた大河ドラマ「光る君へ」が人気ですが、じつは紫式部は幼いころから当代きっての識者、具平親王と関係が深く、その実生活には『源氏物語』のモチーフが見え隠れします。各種の資料から、物語が大きく花開いた時代を演出した王朝サロンの存在を解き明かします。(装丁/熊谷博人、挿図 『紫式部日記絵巻』断簡、東京国立博物館蔵、ColBase)

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紫式部は、お仕えする中宮彰子が無事に皇子を出産して一息ついたと思った矢先、彰子の父、藤原道長から「わが家の長男頼通の結婚の仲立ちをしてくれないか」と重大なミッションを言い渡されます。相手は六条宮具平親王の娘、隆姫です。道長は「男は妻がら」(出世の道も妻の出自がすばらしければこそ)と、娘の入内の一方で長男の結婚にも心を砕いてきたのでした。当時の権力者といっても皇族との結婚は簡単ではなく、「そなたの心よせある人」だからと紫式部に具平親王へ話を進めてくれないか、というのです。

紫式部はほかにも道長から、中宮彰子の出産記録を詳細に記す、すでに話題持ちきりだった自身の『源氏物語』を中宮彰子の夫、一条天皇へのお土産として美しい写本に仕立てるというミッションを課されていました。道長は紫式部を一介の女房でなく、有力者の後ろ盾のある女性として遇していたことが紫式部の日記や『栄花物語』から見えてきます。

具平親王は、和歌、漢詩、香道、音楽、医学、仏道、有職故実に通じた、当代きっての識者でした。紫式部は血縁で具平親王につながっており、式部の父は具平親王と親しく家司をつとめ、和歌に優れた伯父は具平親王の文学サロンの常連でした。具平親王邸の六条院には藤原公任、藤原行成ら公卿も出入りし、幼いながら利発な紫式部は伯父を介してよく知られた存在だったと著者、伊井春樹氏は推測します。なお、六条院は美しい庭園で知られ、その様は『源氏物語』の紫の上らが住まう六条院のモデルだったのではないかと提唱しています。

また具平親王は同年生まれの異母姉、大斎院選子内親王とも親しく、内親王は大斎院の女房たちを指揮して物語を集め書写する一大サロンを形成し、注目を集めていました。書写された物語は貴族、女房を中心に瞬く間に広まり、人々は新たな物語を渇望していました。具平親王は大斎院選子の影響もあり、紫式部に『源氏物語』の執筆を続けるよう促したのではないかと著者は考えます。

『紫式部日記』や『紫式部集』『栄花物語』はじめ、これまでも検討されてきた各種の文学資料のほか、『御堂関白記』『権記』『小右記』ほか公卿の日記記録、『日本紀略』ほかの編纂記録に加え漢詩文を読み解き、人々と紫式部との関係を明かしていきます。これまで謎とされてきた没年についても、藤原実資の日記『小右記』や娘の賢子の『大弐三位集』から寛仁4(1020)年9月以降ではないかと著者は絞り込んで推測します。

父ほどの年の差のある夫・藤原宣孝との結婚に紫式部はどのような感情を抱いていたか。夫との死別後の宮中出仕の具体相、『源氏物語』の爆発的なブームの裏側を各種の資料から詳細に描きだします。
ドラマで注目を集める紫式部の生涯、女房の生活などこの時代に関心をもった方々に一読をお勧めします。


<もくじ>
一章 セレブふたりの間を取りもつ
二章 具平親王文化サロンと父たち
三章 父為時の官僚生活の悲運
四章 紫式部の少女時代
五章 為時の越前守赴任
六章 為時の任務と宣孝との結婚
七章 女房の生活
八章 紫式部の宮仕え
九章 紫式部の宮中生活
一〇章 中宮彰子御産による敦成親王誕生
一一章 献上本『源氏物語』
一二章 その後の紫式部


『紫式部の実像――稀代の文才を育てた王朝サロンを明かす』(朝日選書)
著者:伊井春樹
定価:1980円(本体1800円+税10%)
発売日:2024年2月9日(金曜日)
体裁:352ページ、四六判
https://www.amazon.co.jp/ /dp/4022631317

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記事提供元:タビリス