”自宅サウナ”約1平米からマンションでも設置可! 水風呂、ととのいスペースの動線のコツ、DIYの問題点は?

SUUMOジャーナル

サウナを愛してやまない“サウナー”たちの夢といえば、自宅にサウナを設置する「プライベートサウナ(自宅サウナ・おうちサウナ・ホームサウナ)」ではないでしょうか。今回は、プライベートサウナ・業務用サウナを取り扱う株式会社メトスの佐野貴司さんに、サウナの最新事情や、サウナーの夢をかなえるプライベートサウナ設置のための価格と工期、注意点などを伺いました。

“自宅サウナ”を設置したい! どうしたらいいか聞いてみた

年齢や性別などを超えて、サウナを満喫する人が増えています。ただ、コロナ禍でサウナブームが加速したこともあり、温浴施設のサウナが密になるのが気になったり、時間制/抽選制になったりして、思う存分楽しめない、もっと自由にサウナを楽しみたい、と考えている人は多いことでしょう。

そんなストレスが無用なのが、“自宅サウナ”です。このところ、サウナがついている物件やサウナを導入した人のご自宅などを紹介しましたが、今回はよりつっこんで、サウナを設置するにはどうしたらいいか、サウナ市場の動向について聞いてみました。

日本のサウナ実態調査2022

サウナ愛好家の推定人口推移。世の中の動向に左右されず、コアなサウナラバーがいることがわかります(画像出典/日本サウナ・温冷浴総合研究所)

「日本のサウナ実態調査2022」(一般社団法人 日本サウナ・温冷浴総合研究所調べ)より。2021年はコロナ禍で気軽に楽しむ「ライトサウナー」は減りつつあるものの、ヘビーサウナー、ミドルサウナーのコアな「サウナラバー」は減ってはいません。

予算は135万円(別途工事費)。約1平米から設置でき、施工は1~2日で完了!

サウナブームといわれる今、自宅サウナの事情はどのようになっているのでしょうか。株式会社メトスの佐野貴司さんはこう話します。
「サウナは2000年代よりずっとブームといわれているんですが、コロナ禍により温浴施設の自粛や時短営業が続出。また、昨今は電気代などの高騰により温浴施設は苦境が続き、閉鎖するところもでてきています。そのため、温浴施設でサウナを楽しんでいた人が、『プライベートサウナ』の導入を考えることとなり、ニーズが激増している状況です」

メトスの小規模なサウナ「クリマ」。自宅で一人サウナに入るって、ぜったい至福のひととき!!(写真提供/メトス)

メトスの小規模なサウナ「クリマ」。自宅で一人サウナに入るって、ぜったい至福のひととき!!(写真提供/メトス)

「弊社のサウナでは、灼熱したサウナストーンに直接水を注ぎ、爽快なロウリュの醍醐味を味わうことができます。ストーブはコンパクトな設計ながら、熱の対流を促進させるよう工夫されています。ベンチレイアウトも[ストレート][対座][L型]など多彩なものがあります。今や自宅サウナは特別なものではありません。必要な予算、スペースや設備ですが、もっとも小さい一人用であれば、本体代135万円~、広さは約1平米、電源は単相200V、100Vがあれば設置できます。施工そのものは、1~2日で終わりますよ」とのこと。

サウナといえばもっと大掛かりなものを想像していましたが、拍子抜けするほど「できそう」な感じがしてきました。ちなみに、これは一戸建て、マンションともに共通だといいます。

自分好みのロウリュ(ストーブの上で温められたサウナストーンに水やアロマ水を掛けて蒸気を発生させる入浴法)ができるのもプライベートサウナの楽しみ(写真提供/メトス)

自分好みのロウリュ(ストーブの上で温められたサウナストーンに水やアロマ水を掛けて蒸気を発生させる入浴法)ができるのもプライベートサウナの楽しみ(写真提供/メトス)

一人用サイズのサウナ・クリマ。コンパクトで設置しやすいのも魅力(写真提供/メトス)

一人用サイズのサウナ・クリマ。コンパクトで設置しやすいのも魅力(写真提供/メトス)

ランニングコストは電気代で1カ月あたり数千円台。カギは冷水浴と“ととのい”スペース!

気になるプライベートサウナのランニングコスト、メンテナンスについても聞いてみました。

「お風呂とサウナのエネルギーコストを比較した場合、サウナのエネルギーコストはすごく少なくて済むんです。お風呂は水をお湯にしますが、そのエネルギーと比較して、サウナは使うエネルギーが約3分の1で済むといわれています。サウナの場合、壁面からくる輻射(ふくしゃ)熱が8割となるため、省エネでもあるんです。地域ごとに電気代も違うので、一概には言えませんが、一般のご家庭で毎日のようにサウナに入られている方でも、サウナの電気代は月々3,000円程度しかかかっていないとおっしゃる方がほとんどです。温浴施設の利用料金として考えると、2回分くらいでしょうかね。また、使用後は使用部分を拭いておき、扉をあけておけばOK。換気や消毒などのお手入れは特に不要です」となんとも心強い回答です。

同社のサウナを導入している人には、一般家庭はもちろん、スポーツ選手や俳優、有名企業幹部など、多忙を極めていそうな人も多くいるそうです。ちなみに、メトスのサウナ愛用者には、浴槽を導入せずにシャワー&サウナというご家庭もあるのだとか。

(写真提供/メトス)

(写真提供/メトス)

余談ですが、筆者はお風呂の掃除が大の苦手で、浴槽のお手入れの大変さを考えると、シャワー&サウナの選択肢も十分「アリ」な気がします。ちなみに、サウナ設備の寿命は20年~30年ほど。「10年に一度は電気点検が必要ですが、20年ご愛用いただいているご家庭もあります。問題なく使えています」と佐野さん。点検の必要性も含め、システムバスと同じような耐用年数ですね。

一方で、自宅で“ととのい”をかなえるために、「サウナの設置以上に大切になる」のが「ととのいスペース」だといいます。
「プライベートサウナを設置するのは難しくないのですが、サウナの近くに冷水浴や外気浴・休憩ゾーンがなければ、交互浴ができず、ととのわないんですよ……。ご家庭の場合、脱衣所に扇風機と椅子を置く、お風呂に冷水を入れて交互浴をするなどで対応する人が多いでしょうか。サウナ単体だけでなく、『冷水浴』『ととのいスペース』も含めて考えてほしいですね」(佐野さん)

調光式LED照明。間接照明になっているので柔らかい光がじんわりと広がります(写真提供/メトス)

調光式LED照明。間接照明になっているので柔らかい光がじんわりと広がります(写真提供/メトス)

また、「ととのいスペース」は、水滴が落ちるため、こちらのほうが掃除やお手入れが重要になるかもしれません。個人的にはととのいスペースで「空が見たい」と思い描いていましたが、今の家の動線を考えると現実的ではないかな……。ただ、自宅の庭やバルコニーを「ととのいスペース」にうまく活用できれば、きっと理想のサウナができることでしょう。

「PSEマーク」をチェック、ノウハウのある施工会社に

一方で、メトスの佐野さんは、加熱するサウナブームでぜひ注意してもらいたいことがあるといいます。

「近年、さまざまな企業や個人が『プライベートサウナ』『DIYサウナ』を取り扱うようになりました。なかには『●万円でできる』と価格を全面に訴求しているところ、法令についてよくわかっていないのではないかと不安になる企業も参入しています。ただ、サウナはその性格上、裸で熱源にあたります。もし火が出てしまったら大やけど、漏電・火災になれば、自分だけでなく周囲にお住まいの人の生命・財産にも関わります。電気用品安全法上、認可された『PSE』マーク付きのサウナであるか確認することをお勧めします。
設置・施工の際にも、技術的知見はもちろん、関係法令や地域ごとの条例にも精通している企業にお願いすると安心ですね」(佐野さん)

サウナを選ぶときには、PSEマークを確認して(画像提供/メトス)

サウナを選ぶときには、PSEマークを確認して(画像提供/メトス)

●取材協力
メトス

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記事提供元:タビリス