資産家たちがブロックチェーンに注目する理由 アートが変える社会と経済

ジョルダンニュース編集部


アートが変える社会と経済: AI、NFT、メタバース時代のビジネスと投資の未来

本記事は書籍「アートが変える社会と経済: AI、NFT、メタバース時代のビジネスと投資の未来(著:倉田陽一郎)」の内容を抜粋したものです。

資本主義の世の中において、富の移動には2つのパターンがあります。
一つは富の相続で、世代から世代へ移転していきます。もう一つは、技術革新により、これまでのビジネスの勝者の富が、新たなビジネスの勝者に移転していくパターンです。
長い目で見ると、世の中は成功している覇者が、資金力を含めて競争力を駆使していくと、最終的に富を総取りしていきます。そして蓄積した富を後継者たちが維持・拡大のために努力していくことで、富は富裕層の中で蓄積されていくのです。

たとえば、サム・ウォルトンという経営者はスーパーのウォルマートを作って成功しました。資産は「ウォルマートファミリー」が管理する形でさまざまな業界の企業、金融や株式、不動産などといったものに分散されて投資されています。
世界はいまだに、数多くの資本家ファミリーが巨額の資産を運用してファミリーオフィスを運営し、世界中の経済を担っています。だからこそ、彼らにとってもブロックチェーンはまったく無視できないものになってきました。というよりも、むしろ富を未来に継承させたい人こそ、ブロックチェーンが最強の推進役になる可能性もあります。

本書で幾度か説明しましたが、ブロックチェーンは法定通貨と異なり、人間そのものが運営する国家の信用をベースに発行されているものではありません。お金を取引する際に、その取引記録が改ざんされない仕組みが構築されていることが信用として成り立っているものです。それゆえに、富の保全形態としては安心して利用できるものです。
また、その仕組みそのものが未来の資本主義を担う記録システムとして、重要なインフラを担えること。そして金融システムを含めて、これまで依存してきたシステムが疲弊してきた事実を鑑みて、ブロックチェーンを利用する新たなインフラの可能性に期待している世界の投資家たちがいます。

また、ブロックチェーン上の暗号資産は、「トランザクション」が容易にできることも魅力です。トランザクションとは「商取引」という意味にとらえていいでしょう。たとえば金庫の中に1億円があるとして、そのお金がどういう経緯でやってきたものかを知るには古い記録を辿っていくしかありません。
これは通帳上のお金も同様で、結局のところ法定通貨の世界では、人間が管理するシステムの中で過去の記録を遡らない限りトランザクションがわかりません。となると、記録されているサーバーがクラッキングされたり、破壊されたり、データが抜き取られたり、誰かに改ざんされたりすることにより、その記録を正確に知ることができなくなる場合が生じます。
最も単純なリスクは、これまで記録を保管していた担当者が変わり、引き継ぎがうまくいっていなかったために過去の記録が消えてしまうという事態が生じてしまうということです。それは人間がコンピュータを利用して記録を管理していることから起こる事態ですが、ブロックチェーンではそのようなストレスは一切無くなります。

ブロックチェーン上の暗号資産は、これまでの取引がすべてブロックチェーン上に書き込まれているため、トランザクションのID(トランザクション・ハッシュと呼ばれています)がわかれば、すべての取引記録を把握することができます。また、このブロックチェーンは取引の認証をマイニングやステーキングというやり方で行うため、フルノードと呼ばれる世界中にある端末にブロックチェーンが保有されています。一つのコンピュータが壊れても世界中のどこかにあるフルノードにより、それまでのデータを失うことはありません。
これまでの資本主義の基幹インフラがさまざまな要因で高コスト構造となり、さまざまな弊害が浮き彫りになっている現状が、ブロックチェーンというインフラが世界の富裕層たちに注目され始めている理由なのです。


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記事提供元:タビリス