ワールドコインが描く AI 時代の信頼基盤 ITイベントレポート:TIDE&WAVE

ジョルダンニュース編集部

「ボットと人間の区別困難」な時代 人間証明の新インフラ目指す オープンAIのアルトマン氏が設立

Tools For Humanity(ツールズ・フォー・ヒューマニティ)は5月15日、同社が展開するワールドコインプロジェクトについて記者説明会を開催した。日本におけるジェネラルマネジャーである牧野友衛氏は、「AIが高度化する未来では、オンラインで人間とAIの区別がつかなくなる。これがインターネットの根幹である信頼を揺るがす課題だ」とした上で、ワールドコインは、その問題を解決する」と指摘した。

講演するツールズ・フォー・ヒューマニティの牧野友衛氏

このプロジェクトは、「AI時代の信頼を守る」をコンセプトに、2019年、オープンAIの共同創業者でもあるサム・アルトマン氏らによって設立された。AI時代に不可欠な「人間の証明」という新しいインフラの構築を目指している。

ワールドコインは、オープンAIの共同創業者でもあるサム・アルトマン氏らによって設立された

AIを巡っては、現在すでに、ボットによるチケットや限定商品の転売、複数アカウントによるフェイクニュース拡散、口コミ操作などの問題が発生している。日本での調査では、約40%が日常的に生成AIを利用する一方、約半数がAI利用に不安を感じているという。具体的には「なりすましや偽アカウントの増加」「フェイクニュースの拡散」などが懸念されている。

これらの課題に対処するため開発されたワールドコインだ。「オーブ」と呼ばれる認証端末は、高精度カメラとセンサー、AIを搭載し、「人間であること」と「過去に認証を受けていないこと」を数秒から数十秒で確認できる。撮影した顔や目の画像は端末から削除され、暗号化してユーザーのアプリに転送される。

「人間の証明」をグローバルに実現できる唯一の方法だと訴える

「ワールドID」の登録者は世界ですでに2600万人、オーブによる認証者は1200万人に達している。牧野氏は「匿名を保ちながら人間であることをオンラインで証明できる」と説明した。

ゲーム関連製品を提供するRazerや、マッチングアプリを展開するMatchグループとの戦略的パートナーシップも発表。「オンラインでの出会いには信頼が大事」として、Tinderの日本向けサービスでの年齢認証・本人認証に導入される予定だ。

日本では全国約60~70カ所で常設の認証拠点を展開。携帯ショップ「テルル」の店舗やアパレル企業バロック・ジャパン・リミテッドの店舗などでオーブ認証を実施している。

オーブ端末による認証拠点の拡大を急ぐ

「AIは非常に早いスピードで進化し、社会を根底から変える可能性がある。その恩恵を最大限に生かすためには信頼という基盤が不可欠だ」と牧野氏。AI先進国を目指す日本において、ワールドIDの普及を通じて「AI時代の信頼を損なうことのない社会の実現」するとしている。

ジョルダンニュース編集部

記事提供元:タビリス