アイスペース、2度目の月面着陸も「失敗」 株価はストップ安
2025/6/12 16:33 ジョルダンニュース編集部

しかし、日本からの月面着陸への夢は2027年へとつづく
月面着陸を目指した民間宇宙スタートアップのispace(アイスペース)は6日午前9時過ぎから記者会見を開き、月着陸船「ランダー」との通信が途絶えたまま復旧の見込みがなく、民間企業として日本初、アジア初の月面着陸は失敗に終わったと発表した。
会見には、袴田武史CEO、野﨑順平CFO、氏家亮CTOの3名が出席した。まず、当初予定されていた午前9時からの開始時刻が遅れたことを陳謝した上で、直前に発表したプレスリリースの内容を袴田氏が改めて説明した。

ランダーは日本時間6日午前3時13分、ミッションコントロールセンター(東京・日本橋)からの指令を受けて着陸シーケンスを開始。高度約100kmから約20kmまでは慣性降下を行い、その後、予定通り主エンジンを噴射して減速を開始した。ランダーの姿勢がほぼ垂直になったことは確認できたものの、その後通信が断絶した。午前4時17分の着陸予定時刻を過ぎても着陸を示すデータは受信できなかった。
原因については、現在取得済みのテレメトリーの詳細な解析を実施中で、解析が完了次第改めて報告するとしている。袴田氏は「2回目の失敗という結果を重く受け止めたい」と述べた上で、「原因を解明し、前回の学びがしっかりと適用できていたのかを改めて検証する必要がある」と語った。
今後のミッション3以降への影響については、「現時点の事象レベルでは直接的な影響があるとは明確には申し上げられない」としつつも、「根本原因の解明によって、ミッション3以降でどのような対策をすべきかを検討したい」とした。

また、他社との競争激化への影響について、袴田氏は「アメリカの2社が既に月面着陸を達成している状況を考えると、我々はここで着陸を成功させておきたかった。ミッション3の打ち上げは2027年に延期となっており、事実として時間的な遅れが生じている」と認めつつも、「この間にミッション2の経験を生かした対策を打つことができる。月面へ輸送船を運ぶ技術を持つプレイヤーは限られているため、早期のキャッチアップを目指したい」と述べた。
同社は、東証グロース市場に上場している。株価は9日も大きく下げた。制限値幅の下限(ストップ安水準)である前週末比150円(20.16%)安の594円で配分された。6日に続くストップ安配分。売り注文が多く残っている。月面着陸の失敗で個人投資家らの失望売りが膨らんだ。
宇宙スタートアップのトップランナーと言えば、イーロン・マスク氏が率いるスペースX。同社も初期の段階では、ロケットの爆発などの失敗を重ねた。アイスペースの失敗が、未来の成功につながることを信じたい。
ジョルダンニュース編集部