「聞いてた話と違う」入社3か月で退職する新人たち すぐ「辞めたい」と思うのは甘えなのか
2025/6/14 16:00 J-CASTニュース

新入社員が会社を辞めたくなるのは、入社から3か月間が多いといわれる。
「退職代行モームリ」によると、2024年の利用者の半数近くは4~6月に集中、退職理由は「入社前の契約内容・労働条件と勤務実態の乖離」が多いという。入ってみたら、「聞いてた話と違うじゃないか」というわけだ。たとえば、建築・建設業の男性は、入社前は「土曜は基本的に休み」と言われていたのに、「土曜も通常出勤で休みは日曜だけだった」と嘆いている。給与面の不満による退職は少ない。入社3か月では、まだその給料が高いのか低いのかよくわからないからだろう。
人出不足の業界は長時間勤務が多い
退職が多い職種は、1位がサービス業、2位が製造業、3位が医療関連だ。サービス業や医療関連は人手不足で、長時間勤務が多いからと考えられる。
3か月で辞められてしまうと会社側も困るが、辞める新人たちも悩んでいる。厚生労働省の相談サイト「こころの耳」にはこんなQ&Aが載っている。
Q:新入社員で入社して3月ですが、上司からできていないことを指摘されることが続き、出社しようとすると動悸や腹痛が出るようになりました。転職も視野に入れていますが、こんなに短期間で退職して、採用してくれるところがあるのだろうかと、先々が不安です。
これに対して、厚労省サイトは「自身の健康を一番大事に」としながらも、こう回答する。
A:短期間の職歴が不利になる場合があるのも事実でしょう。......退職後の生活のことを深く考えず勢いで辞めてしまうと後悔することにもなりかねません。働き続けるための対処方法が思いつかない場合には、まずは休職という方法を選択するのも1つでしょう。休職中は、条件を満たしていれば社会保険制度から傷病手当金が支給されますので、ゆっくり休みながら今後のことについて考えてみてはいかがでしょうか。
いやいや、入社3か月で休職できる職場なら、辞めようなんて考えないでしょう。このアドバイスではちょっと役に立たない。
「身近な人に相談しながら考えてみては」
別の質問に、
Q:まだ入社して3か月しか経っていないのですが、辞めたいと思うのは甘えなのでしょうか。
という悩みがあった。これには、
A:まず、辞めたいと思う理由を整理してみることをおすすめします。仕事の内容、量、人間関係について実際に起きていること、それらについての自分の気持ちなども書き出してみます。書き出す作業はあなたの信頼できる人と一緒にするとより客観的に行えて、共感してもらえることで辛い気持ちが軽くなる効果も期待できます。......辞めるイコール甘えとは限りません。一人で抱え込まずに、身近な人に相談しながら考えてみてはいかがでしょうか。
と勧めている。
相談相手として適当なのは、やはり学生時代の友人だろう。別の会社に勤めていれば、自分の会社や職場が他と比較して、辞めるほどの問題があるのかどうか、客観的に評価することができるからだ。
いずれにせよ、3か月やそこいらでは、勤め先がどんな会社なのか、自分に向いている仕事なのかなどわからない。せっかく入った会社だ。慌てて「退職代行」に飛び込んで辞めてしまうのは、もったいない。
(シニアエディター 関口一喜)