世界中から14,000 社を超えるスタートアップ企業が参加 欧州最大級のスタートアップとテクノロジーの祭典をレポートします

ジョルダンニュース編集部

AI大国=カナダ他、人工知能(AI)一色の様相。「AI×環境問題、健康寿命、化粧品、農法技術…」

6月11日から14日にかけて、パリ・ポルト・ド・ヴェルサイユ展示会場で「Viva Technology(VivaTech)2025」が開催された。今回で9回目を数える同イベントは、欧州最大級のスタートアップとテクノロジーの祭典であり、大企業とスタートアップが連携する「オープンイノベーション」のイベントとして知られる。今年は、世界中から14,000 社を超えるスタートアップ企業 が参加し、3,600 社を超える著名な投資家と投資ファンドなどが集まった。

「Viva Technology(VivaTech)2025」は、パリのポルト・ド・ヴェルサイユ展示会場で開催された。

国籍別では、171の国籍の人々が交流し、120か国以上から出展者と50以上のナショナルパビリオンが参加し、スタートアップ版の万国博覧会と言える様相だ。米国からは、ヒューストン (テキサス州) とマイアミ (フロリダ州) からの代表団が参加した。アジアからは中国、日本、韓国、欧州からもドイツ、ポーランド、イギリスなどが参加した。ブラジル、サウジアラビア、エルサルバドル、ナイジェリアなども出展し、イノベーションの最前線を体現する国際的なプラットフォームとなっていた。

会場は多くの視察者で、一時はすし詰め状態になるほどの盛況ぶりだった。

今年のビバテクノロジーの展示やカンファレンスは、人工知能(AI)一色だった。初日は、AI向けの半導体を担うエヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)の基調講演で始まった。ファンCEOは、フランスのAIスタートアップであるミストラルAIのアーサー・メンシュCEO、マクロン大統領と、AIをテーマにしたパネルディスカッションにも登壇した。エヌビディアはミストラルAIと提携し、データセンター向けに半導体を供給することも発表した。

エヌビディアのファンCEO(左から2人目)は、フランスのAIスタートアップであるミストラルAIのアーサー・メンシュCEO(左から1人目)、マクロン大統領(左から3人目)と、AIをテーマに語り合った。

また、今年の特別招待国はカナダでした。カナダ・トロント大学でAIを研究するジェフリー・ヒントン教授が昨年、ノーベル物理学賞を受賞するなど、カナダは「AI大国」として知られている。コヒア(Cohere)は、カナダを代表する大規模言語モデル(LLM)開発企業であり、生成AI分野のトップ企業だ。ホエールシーカー(Whale Seeker)は、AIを活用し、海洋哺乳類の動向をより迅速、正確にモニタリングするプラットフォームを開発・提供する。

特別招待国カナダのパビリオン。

ビバテクノロジーを代表するアワード、第9回LVMHイノベーションアワードは今年、表彰方法を変更した。ベストインパクト賞、ベストビジネス賞、そして最も有望な賞の3つの受賞者が発表された。

持続可能性、倫理、責任、そしてアクセシビリティを向上させる技術を称える最優秀インパクト賞は、モエ・ヘネシーとコラボしたジェネシスが選ばれた。土壌の健全性を測定、監視、改善し、環境問題の解決に効果的に取り組むためのデータ駆動型デジタルツールを開発した。最優秀ビジネス賞は、ディオールとコラボしたカフーナ(Kahoona)だった。オンラインの顧客に対して、パーソナライズされた顧客体験を提供する。最も将来有望な新しいスタートアップ企業に贈られる、最も有望な賞(Most Promising Prize)は、ゲランとコラボしたOMIに与えられた。OMIは、3Dモデルを活用し、高品質なビジュアルをより迅速かつ柔軟に、そして低コストで制作できる。

 LVMH会長兼CEOのベルナール・アルノー氏は「イノベーションは常に、私たちのメゾンの成長と魅力を高めてきた。若い起業家たちに出会い、彼らが何世紀も続く私たちのメゾンで働き、その起業家精神と努力が認められるのを見るのは喜びだ」と語った。

LVMHと並ぶ、ビバテクの主役と言えば、世界最大級の化粧品会社、ロレアルだ。同社もAI関連の取り組みを複数発表した。肌関連の技術開発について、「ロンジェビティ(健康長寿)」という概念で取りまとめた。独自のロンジェビティAIクラウドを用いて、生物学的加齢を分析し、肌の細胞の健康寿命を延ばすことで、修復ケアから予防ケアに重点を置く方針を掲げた。

垂直農法技術植物成分をスムーズに採取するため、AIを活用した垂直農法技術を紹介した。AIを活用し、植物の成長を完全に制御する。提携するスタートアップ、インターステララボ(Interstellar Lab)の「バイオポッド」を活用する。メタ(Meta)との提携で、AIエージェントを搭載したパーソナルビューティーアシスタント「ロレアル パリ ビューティー ジーニアス」を開発。メタが提供する対話アプリ「ワッツアップ」上で近日中に提供開始することも発表した。

ビバテクノロジー2025は、テクノロジーとイノベーションの最先端を紹介し、グローバルなスタートアップエコシステムの可能性を世界に示すイベントとなった。来年は、記念すべき第10回となる。

※写真はいずれも主催者提供

ジョルダンニュース編集部

記事提供元:タビリス