トイメディカル、塩分オフセット技術で世界大会へ 摂取した塩分、なかったことに スタートアップワールドカップ2025 九州予選 ITイベントレポート:TIDE&WAVE

ジョルダンニュース編集部

世界的に注目を集めるFoodTech(フードテック)AgeTech(エイジテック)で、サンフランシスコの世界大会では優勝投資賞金100万米ドル(約1億5千万円)を掛けて競い合う。

スタートアップワールドカップ2025の九州予選が5月23日、熊本市の熊本城ホールで開催された。「塩分オフセット技術」のトイメディカル(熊本市、竹下英徳社長)が優勝し、10月のサンフランシスコ世界決勝大会への出場権を獲得した。

スタートアップワールドカップ2025の九州予選で優勝し、トロフィーと花束を手に持つトイメディカルの竹下英徳社長(中央)。左は主催者であるペガサス・テック・ベンチャーズのアニス・ウッザマンCEO。右は、特別対談に登壇したタレントの田村淳氏。(主催者提供)

スタートアップワールドカップは、革新的なスタートアップ企業が集まる、世界最大級のピッチコンテストである。ベンチャーキャピタルの「ペガサス・テック・ベンチャーズ」(アニス・ウッザマンCEO)が2017年から主催する。世界各国から毎年3万社以上のスタートアップ企業のエントリーがあり、その中から、各地域予選を勝ち抜いた代表企業が米国サンフランシスコでの世界決勝大会に参加し、優勝投資賞金100万米ドル(約1億5千万円)を掛けて競い合う。今回、九州予選では、九州地方を中心に約100社のスタートアップがエントリーした中から10社がファイナリストとして、産学官金の関係者約2000人が会場とオンラインで熱い競争を見守った。

優勝したトイメディカルは、独自開発の「塩分オフセット技術」が審査員から高い評価を受けた。食事に含まれる塩分を吸着する「アルギン酸」と呼ばれる食物繊維を活用して、食品内に口から入った塩分を体内に吸収される前に、「排塩」する技術を開発した。サプリメントや塩分の代用品として商品化した。

最近シリコンバレーなど世界的に注目を集めるFoodTech(フードテック)であり、Longevity(ロンジェビティ=健康長寿)を支えるAgeTech(エイジテック)でもある。熊本予選の直前にも、5月13日から3日間、スペイン・ビルバオで開催された欧州最大級の食品技術展示会「Food 4 Future – Expo FoodTech 2025」に初出展し、健康食品部門の「Foodtech Innovation Awards2025」を、アジア企業として初めて受賞している。スタートアップW杯の世界大会でも優勝する可能性はありそうだ。

スタートアップワールドカップ2025の九州予選で優勝したトイメディカルの竹下英徳社長

竹下英徳社長は、優勝を受けて「うれしいの一言。人工透析をすることになった友人の『ラーメンを食べたい』という希望を叶えたいとの思いで始まった事業だ。世界中の人々に、塩分摂取を気にすることなく、笑顔で食事を楽しんでほしい」と決勝戦への意気込みを語った。

第2位はJCCL(福岡市、梅原俊志代表取締役)。二酸化炭素を直接回収し、再資源化する技術が評価された。第3位には、PuREC(島根県出雲市、髙橋英之社長)が選ばれた。間葉系幹細胞による、安全で効果的な幹細胞治療の開発を目指している。

スタートアップワールドカップ九州予選は2年連続で、熊本市で開催された。優勝も2年続けて、熊本大学発スタートアップだった。地方大学の技術に基づくディープテックスタートアップへの期待があらわれたとも言えそうだ。

熊本市のリーダーシップと、九州・沖縄地域の13行の地方銀行、熊本経済同友会など、多様な機関が連携して、実現した。地域のスタートアップ・エコシステム構築にもつながっているといえそうだ。

スタートアップワールドカップ2025の日本での予選は、今後、7月18日の東京予選(https://www.startupworldcup.io/tokyo-regional)、8月22日に仙台市で開催される東北予選(https://www.startupworldcup.io/tohoku)が予定されており、スタートアップのエントリーも募集中だという。

ジョルダンニュース編集部

記事提供元:タビリス