フリーWi-Fiサービスの終了続く 飲食チェーン店、公共交通機関で...どんな人が困るか

J-CASTニュース

   日本のネット環境に大きな変化が起きている。フリーWi-Fiサービスの終了が話題だ。

   2025年6月16日、すかいらーくホールディングスが以下のプレスリリースを配信した。『一部ブランドにおけるフリーWi-Fiサービス終了について』というタイトルのリリースによると、同社傘下のバーミヤン、夢庵、ステーキガスト、から好し等12ブランドの店舗で提供していたフリーWi-Fiサービスを終了するという。

   もっとも、鉄道やコンビニでも、フリーWi-Fiサービスを終了する決断がここ数年で続き、変化の時を迎えている。

2020年代はフリーWi-Fiサービスの「斜陽期」

   ここ数年の動向を振り返ると、大手コンビニエンスストア「セブンイレブン」を含むセブン&アイグループの店舗では、2022年3月まで『7SPOT』というフリーWi-Fiサービスの提供を行っていた。

   これは簡単な登録で1日最大60分×3回のWi-Fi利用が可能で、セブンイレブン公式アプリを使えば無制限利用もできるという利便性の高いサービスだった。

   そこから間を置かず、東京メトロの車内で利用できる『Metro_Free_Wi-Fi』もサービスを終えた。これは訪日外国人向けに導入されたものだったが、それでもサービス利用者の減少を受けて大きな決断を下さざるを得なかったようだ。

   2010年代には勢いよく増加していたフリーWi-Fiスポットが、わざか10年程度で斜陽期に突入してしまった。

   その最たる理由を挙げると、通信会社のプランの進化が考えられる。

「5G無制限プラン」が当たり前に

   2010年前後ごろの通信システムが3Gから4Gに移り変わろうとしていた時期、通信会社でスマホを契約すると「通信量の制限」という壁に突き当たった。

   4G回線の利用は月20GB、それを超えると通信速度が極端に遅くなる......というものである。これを回避するため、利用者は通信量制限のないモバイルWi-Fiルーターを購入するか、店舗や公共施設のフリーWi-Fiサービスを利用するかで、極力自前の通信量を使わないよう工夫していた。

   その状況は4Gから5Gへの移行からしばらく経った時期まで続いていた。しかし、今では「5G無制限プラン」というものが確立し、日々の通信量を気にする必要がなくなったのだ。

   これは、訪日外国人観光客にとっても同様である。

   空港で購入できるSIMカードの中には、期間中の通信量は無制限という条件のものもある。これを持っていれば、5G回線よりも明らかにパフォーマンスに劣るフリーWi-Fiサービスなどは使わなくなってしまう。

「カフェでノートPC派」も困らなくなった

   一方で、フリーWi-Fiサービスがなければ困ってしまうのはどんな人か?

   たとえば、ファミレスやカフェにノートPCを持ち込み、それにネットをつないで作業をする人だ。

   ノートPCはスマホと違って、SIMカードを組み込んで能動的な通信ができるようなものではない。したがって、公共空間での利用にWi-Fiが必要という場面があるだろう。しかし、これに関しても、近年の通信会社の契約プランに大きく救われている。

   なぜなら、iPhoneの場合でいえば「インターネット共有」と呼称されている、スマホによるテザリング機能があるからだ。これはようするに、スマホをモバイルWi-Fiルーターのように使えるものだ。このテザリングも、最近では通信量が一気に緩和されるようになった。

   筆者自身が利用しているauの『使い放題MAX+ 5G』の場合、テザリング通信量の上限は月60GB。しかし、これはカフェの中でオンラインゲームをするか動画を常に視聴するかという贅沢な使い方をしない限り、まず超過することはない。

   動画はスマホに任せて、ノートPCでは書き物をしたり、編集部にメールを送ったり......という使い方であれば、毎日それをやったとしても月10GBにすら達しない。

   こうした時代の変化の中で、フリーWi-Fiサービスの縮小は、自然な流れと判断せざるを得ないのだろう。

(澤田真一)

記事提供元:タビリス