営業利益率は17%と高い 一度できたことは何度でもできる
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「わが経営」を語る  森川宏平昭和電工社長(3)

森 一夫:「わが経営」を語る (経済ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)(News Socra)

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撮影・中村豊

――全事業が一流を目指すには、社員全員に一流の事業を目標とする強い意識がなければならないですね。(聞き手は経済ジャーナリスト、森一夫)

 そういう意識が必要です。そこそこでいいと満足していては駄目です。かつては2番手、3番手でも生きて行けたし、かえって居心地がいいとも言えました。もろに風を受けないですからね。しかし今や全ての事業が一流を目指さなければいけません。

 ――会社全体が既に、そうした意識になっているのですか。

 その意識にするために、「個性派事業」を目標にして、条件を明確にしているわけです。ただ「一流になれ」と言ったって、言われた人間がすぐそうなるかといえば無理でしょう。

 何が一流で、どうやればいいのか、わからなければ、どうしょうもない。だから個性派事業の3条件を満たすようにやればいい。これが一流への道だとね。

 ――その結果、世界シェアでトップを取らなければ駄目なのですね。

 しかし、ただナンバーワン、オンリーワンと言うと、トップになろうと思えば、すごく小さな土俵を対象にすれば、比較的容易になれます。

 でも、それでは意味が無いので、個性派事業の条件の1つに「営業利益数十億円以上」を挙げて、それに見合う大きさの市場規模を求めています。

 ――たとえ小さい市場でも、成長して大きくなるケースもありますが。

 最初から大きくなりそうな市場であれば、その中でどこを狙うのかセグメンテーション(市場細分化)が重要になります。半導体や液晶みたいに巨大化すると、我々には投資できません。毎年、1兆円規模の投資は手に余ります。

 ――昭和電工は多彩な事業を展開し、かつ従来の化学メーカーとは違う性格の会社になってきました。一言でイメージできるようなキャッチフレーズが欲しいですね。

 そうなんですけどね。大きな課題の1つです。たぶん企業相手のBツゥBの企業は、みんな事情は同じです。

 社名を知っていると、何となく分かったような気持ちになります。どのような会社か調べることもできます。名前を知らなければ、調べる気も起きません。まず社名を知っていただくことが第一歩でしょう。

 ――18年度上半期は売上高営業利益率が約17%で、通期でも約17%の予想です。すごい業績です。

 非常に好調な電気炉用の黒鉛電極によって、かさ上げされた部分があると思います。

 ――これからは市況の変動があっても10%以上の営業利益を安定的に稼ぎ出そうという方針ですか。

 いろいろな偶然の要因が重なって、営業利益率17%という数字だったかもしれません。だけど私は基本的に一度できたことは二度でも三度でもできるという考え方です。

 17%はたまたま思いがけない要因のおかげだから、二度と出せないなどとは思いません。条件を整えれば必ず出せるはずです。

 17%を実際に出せたのですから、17をコンスタントに出せないわけが無い。ではいつ、そうできるのかと問われると、はっきり言えませんが、必ず出せます。

 営業利益率17%を、今期限りでなく次に出せた時に、当社は本当に強くなっています。

 ――日本の会社は1けた台の営業利益率が多くて、5%か7、8%も出せれば、いいという企業が少なくありません。米国では、少なくとも10%以上でないと失格みたいに受け止められます。

 「営業利益率10%以上」を個性派事業の条件の1つに入れたのは、トップシェアを取っていながら、10%以上の利益を出せないような業界は、構造的に問題がある業界だからです

 欧米の企業がなぜ20%の利益が無いと駄目だと言っているのか。彼らはもともとシェアが高い。自分たちで営々と市場をつくってきたのが多いですからね。それで20%以上の利益を上げるわけです。

 利益率が下がるということは、業界自体の状況が縮小などで悪くなっているのか、自分たちの地位が業界内で下がってきたのか、どちらかです。20%はKPI(重要業績評価指標)みたいになっていると、私は思うんです。

 20%以上の利益率が維持できているということは、自分たちの地位が依然として高く、業界自体も健全な状態にあることを示します。

 利益を20%以上出せなくなったら、どちらかがおかしくなったためです。だったら、その事業に見切りをつけようというわけです。

 我々がトップシェアを取っていて、10%以上の利益を上げられなかったら、変でしょう。そのセグメンテーションが適切かどうかということです。もしトップの利益率が3%程度しかなかったら、他は全部赤字ですよね。

 ――個性派事業を目指しても、市場によっては衰退するものもあるでしょう。その場合には、撤退する事業もあるのではないですか。

 どうやったらトップシェアを取れるのか、10%以上の営業利益率を上げられるのか、そして個性派事業の(「市況の影響を受けにくい」を含めて)3条件を満たせるのか、そのロードマップを描けるかどうかが鍵です。

 ロードマップを描ける限り、その事業は昭和電工にとって必要です。もしそれが描けなくなった時には、撤退を考えなければなりません。

 ですから個性派事業を定義する3条件は、生き残りの条件でもあるのです。昭和電工として必要な事業であるかどうかを見極める条件なのです。

 また市場のどこに狙いを定めるか、自分たちが考えているセグメンテーションが正しいかどうかを評価するための基準でもあるわけです。

(次号に続く)

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