10倍堪能！海外旅行の超スキル㉞　先達に聞く旅先の情報　小柳淳

2023/11/27 11:16 ジョルダンニュース編集部

　1000年ほど前のこと、京都仁和寺の法師が石清水八幡宮にお参りに行ったが、男山麓の高良（こうら）神社に参拝しただけで、そこを石清水八幡宮と思い込み、帰ってしまったという。本来の石清水八幡宮は男山山上にあるのだ。徒然草に書かれた話だ。こういう勘違いが起こるので、筆者兼好法師は少しのことにも先達（せんだつ）はあってほしいものであると結んでいる。先達とは案内・指導者のことだ。

仁和寺の法師は山上のここには来なかった

地元出身者や旅行会社員に教えを乞う

　確かに何も調べずに旅に出ると勘違いや間違い、時間の無駄も発生しうる。ガイドを雇わなくとも旅先のことを知っている人や地元出身者に話を聞くことは有効だ。初めてでは判断しにくい見どころの推薦を受けたり、土地勘が少し得られて旅の時間にメリハリをつけることもできる。そう都合よく旅先のことを知っている人が周りで見つけられないと感じるかもしれないが、話してみると意外にいるもの。パックツアーや宿泊手配があるなら、旅行会社の店舗でついでに聞くことだってできる。ただ、目の前にいる係員が得意なエリアと旅先が一致しないこともあるので、そこは注意と配慮が要る。

フィレンツェに行くなら、メディチ家とマキャベリは調べておきたい

　先達に聞くのは人間による情報だが、旅情報はガイドブックやインターネットから得ることが多いだろう。これらも旅の専門家が取材したり書いていたりなので先達情報と言えるだろう。ガイドブックは旅先情報の宝庫なので1冊は準備したい。紙の本のページには量に限度があるのが弱点だ。その点ではインターネットの情報量は無限だ。ただ、ネット上のWEBサイトは玉石混淆で、分かりやすく丁寧なサイトがある一方、独りよがりだったりかなり内容が疑わしかったりするものもある。特に、検索して出てきたサイトを吟味しないで読むのは危険で、かなり古い情報が最新情報と交ざって並んでいることも多い。まず旅先の自治体や観光協会などのページを読むのがお勧めだ。ただ、こちらは情報が正しいことはある程度信じられるが、予算の都合でページ更新がたまにしかなかったり、通りいっぺんの簡単な内容しかないことも多い。したがって、このような公的サイトを見ながら、個人のサイトやSNSを参照して豊かな情報を集める方がいい。意外に便利なのが交通機関のサイトだ。JRやバス会社のものは自社路線に沿った観光地を説明しているうえに、自治体情報が同じ観光エリアなのに隣接する他市町村を無視する悪弊がない。

ガイドブック1冊＋本が最強セット

　私は旅に行くとき、特に海外に行くときは1冊のガイドブックと旅先のことを書いた本を読むようにしている。ガイドブックはインターネット情報に代替してもいいけれど、本はぜひお勧めだ。旅先の民俗・風習や自然・風景、歴史や言語の本を読んでおくと、旅先で見たものをじっくり楽しめる。ロンドン塔を巡るとき、ここで悲劇の王子たちが幽閉されたところと知っているだけで興味が増す。