10倍堪能！海外旅行の超スキル⑫　旅の言葉は何を覚えるか　小柳淳

2022/12/9 16:27 ジョルダンニュース編集部

　日本語の母語話者数は文部科学省によると世界第９位だ。でも、これは日本の人口が多いためで、国外での通用度はグンと下がる。海外で日本語が通じるのは、だいたい旅行社やガイドの人、特定の土産店に限られる。そのため海外旅行のときには、現地の言葉か英語やスペイン語といった通用地域の広い言葉が少し話せると便利だし、旅が楽しくなる。

英国ロンドンだけでなく、英語は通用範囲が広い

まずは英語を、しかし完璧でなくとも

　多くの人は学校で英語を習ったはずだ。幸い英語が通じる土地は多い。もちろん、学校を卒業できたことと、英語が話せるということは別。でも、ゼロから始めるより多少は知っている英語なら勉強のハードルは少し下がる。もう成績は関係ないのだから自分磨きとして学習してもいい。英語が多少できれば、空港や駅、ホテルやレストランなどでは通じることが多い。それから、旅に限ったことではないが、発音、文法にこだわり過ぎる完璧主義では言葉は身に付きにくい。

市場などでは地元の言葉ができると楽しい、釜山釜田市場

２段階記憶、まず必要最小限の言葉を

　地元の言葉が少しでもできると旅は楽しくなる。誰だって母語で話しかけられたら心地よいだろう。とはいえ、旅のたびに各地の言葉を覚えるのは現実的ではない。ガイドブックには会話ページがあり、旅の会話集もある。でもそれで話せるようになるとは思えない。ではどうするか。旅の言葉は２段階に考える。
　まず第１段階は、旅行で必要最小限の表現を覚えておくことだ。それを往路の飛行機の中で集中的に覚える、逆に覚えられるくらいに厳選する。私の経験から選んだ用語はだいたい次のようになる。

　ありがとう
　こんにちは
　これ
　いくらですか
　すみません
　要りません

　これらのうち、「すみません」には謝る場合と、日本語の「どうも」のように幅が広く、ちょっとした声かけなどに使い勝手の良い言葉がある。英語のexcuse me、広東語の唔該、フランス語のpardonなどだ。それと「ありがとう」も感謝の意だけでなく、感嘆や適度な挨拶にも使えることが多い。これ以外にも色々思いつくかもしれないが、往路航空便のなかで覚えるのだから欲張らない方がいい。
　これから先は第２段階で、旅の会話集など。指差し式の会話帳も便利だ。これは覚えない。これら冊子はどこに何が書いてあるか把握しておけばいいのだ。料理や食材、キップの種類など必要な都度ページを開く。これに似ているのが音声翻訳機やスマートフォン翻訳。IT技術は日進月歩だ。フランスの地方都市のホテルでチェックインしたら自分の部屋が設備工事中だった。このとき事情を聞くのに翻訳機が役に立った。ただ、マシンですべて済ますより、第１段階の表現くらいは自分の口で話したい。言葉を純粋に技術的手段と考えず、人と人の温かみのある交流と思いたい。

数字も言えれば便利

　用語とは違うが数字も言えた方がいい。ただ、数字を覚えるは意外に難しい。これも厳選。１～３と10、100くらい覚えたら上々。トルコのイスタンブールに行ったときにホテルの部屋番号が101だったので、１、100、101はすぐ言えるようになった。その数年後、中央アジアのウズベキスタンでトルコ語の１、２、３が通じてしまった。トルコ民族は1000年以上をかけて、中央アジアからアナトリアに移動してきたという教科書知識がリアルに感じられた一瞬だった。