10倍堪能!海外旅行の超スキル④ 日本のパスポートは世界一 小柳淳

ジョルダンニュース編集部

ランキングNo1のパスポート

 2022年7月に世界のパスポートランキングが発表になった。第1位は日本のパスポートだ。これは英国のコンサルティング会社が発表しているHenley Passport Indexの2022年7月版による。このランキングはIATA(国際航空運送協会)のデータを基に、事前のビザ(査証)取得をしなくて渡航できる国・地域の数で計られる。日本のパスポートは最多の193の国と地域でノービザ渡航ができる。第2位は192のシンガポールと韓国。190のドイツ、スペインが第3位と続く。

最強だから狙われる


 海外旅行の際にいちいちビザを申請・取得するのは確かに面倒で、ノービザはありがたいことではある。しかし、良いこともあれば悪いことも。そんなに強力なパスポートなら誰しも欲しいし、不正出入国や身分偽装などの悪事には多分便利だろう。そのため、日本のパスポートは盗難リスクが高い。パスポートは偽造・変造対策が高められてきているのだが、万全ではない。顔写真を貼り換えても内蔵ICに写真データがあるので見破られる。しかし、IC機能を使わないイミグレーション(出入国管理)があるかもしれないし、出入国以外の身分証明として使われてしまう可能性だってある。

イミグレーションでは必須のパスポート

客室の金庫も危ないケースも


 パスポートなしの海外旅行は無理。空港や国境で出入国事務が済んだら、安全第一に保管する。旅行グッズには、腹巻式やシャツ内に首から下げる袋なども売っている。ただ、これは出し入れがみっともないし、時と所によってはマナー違反になるかもしれない。
 バックの内側ポケットに入れておくか、上着の内ポケットにボタンかファスナーがあればそれもいい。ホテルでは室内金庫かフロントに預けてしまおう。室内金庫は暗証番号方式が多いが、誕生日、部屋番号、今日の月日など破られやすいものは不可だ。自分だけが分かる番号を予め決めておく。土地によっては室内金庫も危ない(管理権限者は開けられる)ので、スーツケースに入れてカギをかける人もいる。このあたりは経験と勘による。

ホテルでは室内金庫に入れて安全第一

市街への持ち出しせず、コピー持参


 お土産など高額の買い物に対する付加価値税還付には、購入時にパスポートが必要だ。でも、いちいち繁華街にパスポートを持って行くのは気が進まない。これにはパスポートのカラーコピーで対処する。パスポート番号と写真のあるページのコピーだ。パスポートは現物が必要などと説明する資料もあるが、多くの場合コピーで充分。これはリスクをどう考えるかで行動は分かれるところ。私はコピーをお勧めしたい。
 同行者がいるなら、同じコピーを相互に持つようにする。バックごとなくしてももう1人が持っていると助かる。なお、不幸にもパスポートが紛失・盗難にあったら、現地の日本大使館か領事館に連絡する。パスポート再発行はかなりの日数を要するので、旅行者は「帰国のための渡航書」というパスポートに代わる書類の発行が受けられれば、それにより帰国できる。
 ところで、金庫に入れて安全を図っても、出発日に金庫内に置き忘れという事故はある。意外な盲点なのだ。これは前日の晩に「金庫を空ける」などとメモ用紙に書いて、ナイトテーブルに置いておく。単純だけど役立つ方法だ。ちなみに、私は「クローゼット」とも書いてジャケット類の忘れ物にも備えている。
※コロナ禍およびロシアのウクライナ侵攻により、出入国管理やビザ要件に変化が生じています。本稿はそれら要素を加味していませんのでご注意ください。
(写真:小柳淳)

小柳淳(こやなぎ・じゅん):1958年東京都生まれ。東京都立大学法学部卒。海外渡航122回、国内未踏3県。交通、旅行、ホテル業などを経て、旅行作家。VISIT JAPAN大使、日本旅行作家協会会員、日本香港協会理事。著書に『旅のことばを読む』、『香港ストリート物語』など。

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記事提供元:タビリス