10倍堪能!海外旅行の超スキル⑤ 俗世から逃れるのが旅だが、電気は使う 小柳淳

ジョルダンニュース編集部

 旅に出たら、通信・デジタル機器なしにして俗世のつながりから自由になるのもいいと思いつつ、でも持ってゆく。そのため、電気機器とその付属品が多くなる。スマートフォン、デジタルカメラ、それぞれの予備バッテリー、充電器、ケーブル、そしてモバイルパソコンやタブレットなどを持つ人もいるだろう。旅の間にそれらの充電をしなければならない。

コンセントの形はバラバラ


変換プラグは何種類もある

 日本では全国的にコンセントの形は統一されていて、電気機器のプラグを気にすることもない。しかし、世界中には多様なコンセント形状があり、国・地域によっては複数のコンセントの形が混在している。そのため、旅行先に合わせた変換プラグを用意しないと電気が使えない。充電もできない。高級ホテルなどでは、変換用のプラグを貸し出すところもあるし、部屋のコンセントがマルチ対応のものや、USBまで付いていたりする。しかし、事前準備をきちんとするに越したことはない。幸い変換プラグはそれほど高価なものではない。
 電圧の違いも100V~240Vの幅がある。ただ、特殊な機器やドライヤーなど熱器具でなければたいてい使える。機器の電源アダプターなどに対応電圧が表示されている。

一覧表はあるけれど、それが曲者


複数タイプのコンセントを備えたホテルの部屋

 世界中で使われているコンセント形状はだいたい8種類。タイプ名称はA、B、C、BF、B3、O、SE、O2がその8つ。日本はA型だ。旅行用品や電気店にはその一覧表があるが、実はそれが曲者なのだ。手許にあるプラグ付属の一覧表を見ると、フランスはA、C、SE、香港はB、C、BF、B3と記載されている。しかし、フランスでAに出会ったことはなく、香港ではBFばかりで私はそれ以外を見たことがない。これは、顧客からの苦情を防ぐために最大限の可能性を書いているのではないだろうか。
 ではどうするか。ガイドブックやネット検索してみると実際上必要なタイプが示されている。いい加減なサイトもあるので複数見る必要はある。エイヤッと大雑把に書くと、ヨーロッパ大陸はC、英国と香港はBF、アメリカと台湾はA、豪州とニュージーランドはOだ。また、どのコンセントにも対応できるマルチ型プラグもある。ただ、使いたい電気機器は何台かあるし、マルチタイプはかなり高価なので、行先のタイプがはっきりしているならシンプルな変換プラグを複数用意する方が賢明だ。

元修道院ホテルならではの“不便”


石造の歴史的建造物のホテル スペイン・セビーリャ

 ヨーロッパには古城や修道院、石造の屋敷を改装したホテルも多く、趣のある旅ができる。現代建築ビルのアメリカンタイプに対して、ヨーロピアンタイプと呼ばれる。あるとき、元修道院のホテルに泊まって驚いた。コンセントがなんと室内と洗面台に1か所ずつしかないのだ。妻と2人で、スマートフォン2、デジカメ1、それぞれの予備バッテリー3の計6つを充電したい。これは手間だが、時間差充電で乗り切った。コンセントが少ないホテルは意外と多いのだ。
 それ以来、必ず携帯しているのが電源タップで、これで1コンセントから3口電気がとれる。ただ、この手の機器はいわゆる「たこ足配線」になるので、電流をたくさん使う機器をつなぐのには向かない。ところで、こんなに色々準備したのに充電できなかったことがある。コンセント脇にスイッチがあってそれをONにしないと電気が流れない仕組みだったのだ。
(写真:小柳淳)

小柳淳(こやなぎ・じゅん):1958年東京都生まれ。東京都立大学法学部卒。海外渡航122回、国内未踏3県。交通、旅行、ホテル業などを経て、旅行作家。VISIT JAPAN大使、日本旅行作家協会会員、日本香港協会理事。著書に『旅のことばを読む』、『香港ストリート物語』など。

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記事提供元:タビリス