10倍堪能！海外旅行の超スキル⑩　気になる両替レート　小柳淳

2022/11/7 16:10 ジョルダンニュース編集部

　今年は円の対米ドルレートが急に円安に進行した。秋に水際対策が緩和され、訪日旅行者が増えたうえに、彼らにとって円安で買い物が有利になったというニュースをよく目にする。これは裏返すと日本発海外旅行には逆風となる。

コロナ禍が和らいだのに、海外旅行への急ブレーキ

　今年の早春までは1米ドルが110円台で落ち着いていたものが、3月に入ると円が急落し始めた。3月上旬に115円だったが、10月下旬には一時151円に達した。海外旅行先ではホテルも食事も買い物も3割くらい値上がりしたようなものだ。これでは旅のハードルがかなり高まってしまう。ただこれは単純化し過ぎだ。
　世界に日本円と米ドルしかないのならともかく、ユーロ、ポンド、豪ドル、香港ドル、トルコリラなど多数の通貨があり、それら相互間のレートも一様ではない。とはいえ、円が全体として安くなっているのは事実。ああ、せっかく新型コロナウイルス禍が少し和らいで、そろそろ海外旅行を考え始めていたのに為替レートに冷や水を浴びせられた。

土地によっては街中に小さな両替店がたくさんある

出国前か到着後か？　空港か市内か……

　それでも3年近く我慢してきたのだから旅をしたい人も多いだろう。海外旅行には円安でも円高であっても両替は必要だ。両替するときのレートは一律ではない。できれば少しでも有利なレートで換金をしたい。ところで、ニュースなどで目にする「レート」はインターバンクレートという。個人が円を外貨に両替するときには、これに金融機関が手数料相当額が上乗せされ、逆に外貨を円にするときは差し引かれる。そのため、売り・買いで数円程度の差がある2つのレートが存在する。
　まずは現金両替だ。レートは日々刻々と変化するので、時間要素は除外して場所に絞ろう。同じ日、同じ時刻でもレートは場所によって違う。出発空港でも両替商（銀行や両替店）によって異なる。さらに、出国審査後（いわゆるエアサイド）ではまた違う。私の経験ではエアサイドの方が良かったことが多い。
　また、日本で両替しておくか、外国に着いてからかによっても違う。一般的には米ドルやユーロは日本国内での両替レートは悪くはない。逆にメジャーでない通貨では、現地での方が良いことが多い。注意が要るのは、外国に到着した空港やホテルでの両替レートは概して市内より悪いことだ。また、両替ごとに別途定額または定率の手数料を取られる場合もあるので、その有無も要確認だ。小さな両替店にレートが良いところが多いように感じる。余談だが、両替せずに店を去ろうとすると、良いレートに変えて提示してくるところすらあった。香港でのことである。

両替レート表は現地通貨基準の表記なので慣れが必要

　次はクレジットカードだ。カードなら外貨現金がなくても買い物ができる。ただ、多くの場合、カードを使うときに、現地通貨で払うか日本円にするか尋ねられることがある。決済端末の小さなディスプレイに選択画面が出ることもある。これがなかなかの曲者で、その時にレートの良し悪しなど計算する余裕はないだろう。私は一律に現地通貨に決めている。それならば後日、カード精算時にカード会社所定のレートで計算されるし、そのレートは現金両替よりおおむね良いのだ。ただ、問われもせず勝手に日本円で決済されてしまうこともある。

レートにこだわるより、旅の時間を大切に

　ところで、1米ドル148円だと、10,000円両替すると67ドル56セントになる。145円だと68ドル96セントだ。この差1ドル40セントは約205円だ。何十万円も両替するなら別だが、多少の差は実際の金額では大きな差にならない。どうしてもレートの良し悪しは気になるものだが、あまりそれにこだわってストレスを増やしたり、あちこちレートを調べて動き回っては、楽しい旅の時間が削がれてしまう。両替を気にするのはそこそこにして、むしろ時間を大切にした方が良いと思うが、いかがだろう。