10倍堪能！海外旅行の超スキル㉓　アメリカは「帰りはご自由に」　小柳淳

2023/5/26 15:32 ジョルダンニュース編集部

　アメリカ合衆国本土には北と南に、長い直線状の国境線がある。北はカナダ、南はメキシコと接していて、陸上の境界で出入国が行われている。カナダ国境が割合波風立たずに運営されているのに対して、南のメキシコ国境は何かと問題が起こる。トランプ政権のときに、境界に塀を作ることで政治問題になったのも記憶に新しい。中南米各地から北上してきた移民希望者や難民は、この国境に阻まれる。相対的に豊かで安全なアメリカに住みたいと考える人々が多いようだ。

観光など一時入国はESTAで

　移民国家として誕生しその後も移民が続いているアメリカだが、新たな移民にはいろいろ厳しい条件がある。しかし、身の危険を顧みず祖国をあとにしてきた人々は、なんとしてもこの境界の向こう側に行きたいと努力する。対するアメリカには厳しい入国条件がある。観光客もビザなし入国は原則論としては不可で、ESTA（電子渡航認証システム）という電子申請を事前にすることで、擬似的にビザなしに近い手続となっている。

シアトル空港国際線搭乗口。出国審査なしでここまで来てしまう。

　アメリカに行くときは、インターネットからこのESTAを申請・取得しておこう。ネット申請が不得手な人は、旅行会社や申請代行会社に依頼することもできるが、申請費用とは別に手数料がかかる。ESTAは一度取得すれば、2年間は有効（ただしパスポートの有効期限内に限る）だ。便利ではあるけれど、ビザが必要という原則はあって、ESTAが利用できるのはヨーロッパの国々と日本が中心で、それ以外の地で利用できるところはとても少ない。日本のパスポートが世界一と言われることの一端が見えるようだ。

国内線搭乗のように出国審査がない

　さて、アメリカの大都市や大自然を堪能して、帰国の日を迎える。国際空港に着くと出国審査、がない。ないのだ。そこでは、あたかも国内線の飛行機に乗るように自分の座席までスーッと流れてゆく。もちろんセキュリティチェックはあるし、搭乗時に航空会社によるチケットやボーディングパスの確認はある。でもそれはどこの国内線でもあるのだ。とても不思議なのだけれど、アメリカは出てゆく者はご自由に、という感じになっている。どうもアメリカ到着時に入国カード受け取った場合は、出国時に航空会社の係員が入国カードを回収するというケースもあるらしいが、最近ではESTA取得者にはそれもないという。つまり出国には国家関与がとても低いのだ。ただ、テロ対策としてセキュリティチェックは厳しい。出国審査とセキュリティチェックは別物なのだ。