10倍堪能!海外旅行の超スキル⑬ 注意したいお正月の海外旅行 小柳淳
2022/12/23 11:46 ジョルダンニュース編集部
もうすぐお正月。今年の年末年始は数年ぶりの海外旅行をする人もいるだろう。自宅に留まる人は年末を慌ただしく過ごし、ゆっくりとした新年を迎えるのだろうか。日本の大晦日は各地で除夜の鐘が聞こえる。旅行者はそういった年末年始の人々の住む街に到着するのだ。お正月は普段の暮らしと違った雰囲気となるが、意外に旅行情報は少ない。
港町では大晦日の夜に港内の船が汽笛を吹鳴する場に出会うことがある。たくさんの汽笛の音が響きわたるなか迎える新年は趣がある。大晦日は街も賑やかで活気があるし、カウントダウンや花火大会が開催されるところもある。
でも、いいことばかりではなく、イベントや花火に合わせ交通規制が強まり通常の移動ができなくなる経験もした。香港の大晦日にタクシーに乗ったら、運転手さんが交通規制を把握していなくて、グルグル繁華街を周回した。結局乗車地点とあまり離れていないところで降りる羽目になったが、運賃は走行距離分だけ取られてしまった思い出がある。また、人出が多い地区はバス路線が変更になったり、地下鉄駅が閉鎖されて通過扱いになったりしたこともあった。日本では考えにくいのだが、隅田川花火の日に浅草駅や蔵前駅が利用できないようなことだ。
年末年始の交通規制は毎年変化するし、その数日のための情報はネットでも見つけにくく、現地言語や英語だけということも。旅行者はホテルで聞くのが一番。ロビーに掲出してあることもある。
お正月は1月1日と思いがちだが、それは欧米と日本の常識に過ぎない。アジアの中華文明が及んでいた地域の多くは今でもお正月は旧暦で祝う。日本も永く旧暦使用だったが、明治維新のときに新暦に一気に切替えられ、伝統行事の多くも新暦で行われる。これはアジアでは例外的なことで、新暦1月1日はただの休日というところもある。旧暦の期日は新暦から見ると毎年前後に動く。旧暦元旦は、2022年は新暦の2月1日、2023年は1月22日だ。うっかりこの時期に中華圏に行くと、街は自分たちのお正月のために静かで、商店やレストランの閉店が多く旅行者にはかなり不便だ。逆に直前の年末は街の活気に圧倒されるほどだ。
ところが新暦と旧暦だけで済むかというと、タイではこれに加えてタイのお正月が4月にあって、お正月が年3回。また、多民族国家マレーシアはイスラム歴の正月やインド式暦もあるので、ことはそう単純ではない。もちろん中近東などアラブ地域ではイスラム歴が主なので、正月は太陽暦から大きくずれてゆく。
国や地域によっては正月より重要な祝日があるので、旅行が決まったらその期間の祝日や行事を丁寧に調べた方がいい。インターネットで検索しても情報は玉石混淆で書き手の思い込みや偏った知識を基にしているものも多い。ネットを見るときは、目的地政府の駐日本大使館や観光局など公式サイトを見たうえで、他の団体・個人サイトを読んだ方が安全。
ところで、かなり前の日本発海外旅行が活発だったころに、たしかモロッコの市場で「日本人は1月と5月、8月にたくさん来る」と言われたことがあった。日本人は年末年始、ゴールデンウィーク、お盆の時季に海外旅行をする人が多いことが、はるか離れた遠い北アフリカの地で市場の人々の肌感覚にキャッチされていた。
到着側の暮らしが地元基準なのは当たり前のことなのだ。旅人としては旅先の状況を予め調べる余裕と相手への敬意を持っていたい。
(写真:小柳淳)
小柳淳(こやなぎ・じゅん):1958年東京都生まれ。東京都立大学法学部卒。海外渡航122回、国内未踏3県。交通、旅行、ホテル業などを経て、旅行作家。VISIT JAPAN大使、日本旅行作家協会会員、日本香港協会理事。著書に『旅のことばを読む』、『香港ストリート物語』など。
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普段と違う数日間
港町では大晦日の夜に港内の船が汽笛を吹鳴する場に出会うことがある。たくさんの汽笛の音が響きわたるなか迎える新年は趣がある。大晦日は街も賑やかで活気があるし、カウントダウンや花火大会が開催されるところもある。
でも、いいことばかりではなく、イベントや花火に合わせ交通規制が強まり通常の移動ができなくなる経験もした。香港の大晦日にタクシーに乗ったら、運転手さんが交通規制を把握していなくて、グルグル繁華街を周回した。結局乗車地点とあまり離れていないところで降りる羽目になったが、運賃は走行距離分だけ取られてしまった思い出がある。また、人出が多い地区はバス路線が変更になったり、地下鉄駅が閉鎖されて通過扱いになったりしたこともあった。日本では考えにくいのだが、隅田川花火の日に浅草駅や蔵前駅が利用できないようなことだ。
年末年始の交通規制は毎年変化するし、その数日のための情報はネットでも見つけにくく、現地言語や英語だけということも。旅行者はホテルで聞くのが一番。ロビーに掲出してあることもある。
旧暦で正月を祝うアジア中華圏
お正月は1月1日と思いがちだが、それは欧米と日本の常識に過ぎない。アジアの中華文明が及んでいた地域の多くは今でもお正月は旧暦で祝う。日本も永く旧暦使用だったが、明治維新のときに新暦に一気に切替えられ、伝統行事の多くも新暦で行われる。これはアジアでは例外的なことで、新暦1月1日はただの休日というところもある。旧暦の期日は新暦から見ると毎年前後に動く。旧暦元旦は、2022年は新暦の2月1日、2023年は1月22日だ。うっかりこの時期に中華圏に行くと、街は自分たちのお正月のために静かで、商店やレストランの閉店が多く旅行者にはかなり不便だ。逆に直前の年末は街の活気に圧倒されるほどだ。
ところが新暦と旧暦だけで済むかというと、タイではこれに加えてタイのお正月が4月にあって、お正月が年3回。また、多民族国家マレーシアはイスラム歴の正月やインド式暦もあるので、ことはそう単純ではない。もちろん中近東などアラブ地域ではイスラム歴が主なので、正月は太陽暦から大きくずれてゆく。
旅人の都合、土地の事情
国や地域によっては正月より重要な祝日があるので、旅行が決まったらその期間の祝日や行事を丁寧に調べた方がいい。インターネットで検索しても情報は玉石混淆で書き手の思い込みや偏った知識を基にしているものも多い。ネットを見るときは、目的地政府の駐日本大使館や観光局など公式サイトを見たうえで、他の団体・個人サイトを読んだ方が安全。
ところで、かなり前の日本発海外旅行が活発だったころに、たしかモロッコの市場で「日本人は1月と5月、8月にたくさん来る」と言われたことがあった。日本人は年末年始、ゴールデンウィーク、お盆の時季に海外旅行をする人が多いことが、はるか離れた遠い北アフリカの地で市場の人々の肌感覚にキャッチされていた。
到着側の暮らしが地元基準なのは当たり前のことなのだ。旅人としては旅先の状況を予め調べる余裕と相手への敬意を持っていたい。
(写真:小柳淳)
小柳淳(こやなぎ・じゅん):1958年東京都生まれ。東京都立大学法学部卒。海外渡航122回、国内未踏3県。交通、旅行、ホテル業などを経て、旅行作家。VISIT JAPAN大使、日本旅行作家協会会員、日本香港協会理事。著書に『旅のことばを読む』、『香港ストリート物語』など。
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記事提供元:タビリス