10倍堪能！海外旅行の超スキル㉜　便利さの陰に潜むリスクも、ホテル手配　小柳淳

2023/10/26 11:10 ジョルダンニュース編集部

　かつて日本への海外旅行客、インバウンドが増え始めたころ、ある外国の旅行会社代表と話していたら、彼はこう言った。「旅行業者の規制は日本のようにならないといいのだけれど」。旅行事業の振興はいいけれど、日本のように厳しい消費者保護策になると商売がしづらいということのようだった。それくらい消費者（旅行者）は保護されているようだ。

旅行予約方法はいろいろ

　さあ、海外旅行に行こうと決める。日程や予算がおおよそ固まると、予約開始だ。パッケージツアーなら旅行会社店舗やWEBサイトから割合簡単だろう。個人旅行となると、航空券、宿泊ホテル、地上移動手段、保険など個別に手配しなければならない。面倒だけれど自由度はグンと上がる。いまや航空運賃やホテル料金は需給状況に応じて上下する。もはや「定価」はないに等しい。国際線に乗って隣の席に座る人と自分のチケットが何万円も差があることは普通なことだ。そのため予約・購入時期については価格変動を睨みながら決める人も多いだろう。出発日が近づいて余席や空室が多いと下がるが、逆に満席に近づいて高騰することもある。ここはかなり難しい。かなり早く予約・購入して早割的な価格を得るのもひとつの方法だ。ただし安い価格のものは変更や払戻に制限が大きいことが多い。

たくさんの航空会社の便があり、同一便でも運賃はいろいろだ

タクシーは料金相場を事前に調べる

WEB予約の盲点、「安物買いの銭失い」

　個人で手配する場合はインターネットからWEB予約をすることも多いだろう。ネット上の旅行手配サイトは百花繚乱、玉石混淆だ。同じ予約サイトで同じホテルの同クラスの部屋を予約しようとしても、価格はひとつでないこともある。その予約サイトが直接の旅行予約をしていなくて、他の予約サイトの商品を場所貸し的に並べているところもあるのだ。すると、参加している仕入販売会社によって価格は異なることになる。
　また、同一サイトであっても予約条件によって価格に差がある。たいてい最安の部屋やチケットは「予約即キャンセル料発生」だ。つまり、クリっと予約ボタンを押した瞬間に購入となって、かつ変更不可でキャンセル料は100％となる。そういうケースはザラである。「気づかなかった」と言ってもまったく無駄である。国内のホテル予約の際には旅行業法や約款の規制により、相当期間は無手数料でキャンセルできるのとは大違いだ。

ホテル予約はキャンセル条件を確かめて

　WEB予約は便利な反面、このようなリスクがたくさんある。それを把握して予約に臨まないと、「安物買いの銭失い」になりかねない。サイトに日本語ページがあっても、外国籍の会社には日本の旅行業法は及ばないと考えておいた方がいい。なにしろ、WEB予約会社の「国籍」はよく分からないし、それをいちいち確かめない人も多い。しかし、ここが盲点なのだ。便利だけれど無法地帯でもある。予約の際は価格と条件を見極めて、最安を追うことが最善とは限らないと肝に銘じよう。もちろん外国サイトが悪で、国内サイトが安全、などという単純な話ではない。