日本橋を人と街の交流拠点へ。三井不動産が手掛けるオープンスペース、自然と会話が生まれるイベントは想像以上の多彩さだった!

SUUMOジャーナル

三井不動産が東京・日本橋に、「好奇心を動かし探求と活動を生み出すオープンスペース 」を開設させた。なぜ、日本橋に交流拠点を開設したのかが気になるところだが、多彩なイベントを連日開催していると聞いて、参加してみた。その様子をレポートしよう。

【今週の住活トピック】
「+NARU NIHONBASHI by MITSUI FUDOSAN」をオープン/三井不動産

交流拠点「+NARU NIHONBASHI by MITSUI FUDOSAN」とはどんな施設?

オープンスペースの名称は「+NARU NIHONBASHI by MITSUI FUDOSAN(以下、「+NARU NIHONBASHI」)」。NARU(ナル)は「成る」「為る」「鳴る」「生る」といった複数の意味が込められており、人や街に変化や動きを生み出すことを目指しているのだとか。

現地を訪れてみると、ガラス張りなので中の様子が見えて、開放的な印象を受けた。(記事冒頭のエントランス写真参照)目に入るのがコーヒースタンド(ドリンクは有料)で、カフェと間違える人もいるかもしれない。中に入るとコミュニティマネージャーが声をかけてくる。取材で訪れた旨を伝えると、三井不動産から委託され+NARU NIHONBASHIを運営している株式会社 GoldilocksのCEO川路武さんが施設を案内してくれた。

+NARU NIHONBASHIのコーヒースタンド(筆者撮影)

+NARU NIHONBASHIのコーヒースタンド(筆者撮影)

+NARU NIHONBASHIは、LINEで会員登録をすれば利用できる。実は、ラウンジが利用できるならと、筆者は既に登録していた。筆者のように日本橋には住んでも勤めてもいないけれど、日本橋のお蕎麦屋さんが定期的に開く落語会や三越劇場が主催する三越落語会など、趣味で日本橋をよく訪れるという場合でも登録はウエルカムだ。登録特典のLINEのコーヒークーポンがあったので、さっそく利用した。

このラウンジは、施設がオープン中であればいつでも利用できる。ラウンジ内にはいくつかのテーブル・椅子が置かれており、ノートパソコンを持ち込んでいる人がいた。よく見ると、テーブルごとにお勧めの本が置かれていたりボードゲームが置かれていたりして、本を読んだりゲームをしたりすることもできるようになっていた。滞在時間はどのくらいなのかを聞くと、短い人で1時間程度、長い人では半日ほどいるという。

+NARU NIHONBASHIのラウンジ(オープンスペース)(筆者撮影)

+NARU NIHONBASHIのラウンジ(オープンスペース)(筆者撮影)

テーブルごとにテーマが設定されていることも(筆者撮影)

テーブルごとにテーマが設定されていることも(筆者撮影)

ほかにも登録会員であれば、ラウンジを区切った約10席のミーティングスペース(1000円/時間)を予約することもできる。また、ラウンジスペースはイベントスペース(10000円/時間)として誰でもレンタルすることができるが、登録会員が主体となった、日本橋に資する内容であると認められるイベントの場合には、メンバー価格(3000円/時間)で利用できるといった特典もある。日本橋で新しいチャレンジが生まれることを応援したいからだという。

+NARU NIHONBASHIにはミーティングスペースが2つある(筆者撮影)

+NARU NIHONBASHIにはミーティングスペースが2つある(筆者撮影)

コミュニティマネージャーが常駐しているのも特徴だ。利用者に声をかけて、コミュニケーションを取っているだけでなく、それぞれの持ち味を生かした多彩なイベントを開催している。その内容も、参加しやすい出会いの場づくりのものから、深掘りしたり自分磨きをしたりする手の込んだものまで、実にさまざまだ。

参加費用は、無料であったり、有料でも1000円程度だったりとリーズナブル。実費相当額程度なので、イベントで利益を得る構図ではないようだ。

いざ、ホットサンド作りに挑戦

そうこうしているうちに、参加するイベントの開催時間となった。この日の朝には、すでにバリスタが教えてくれる「美味しいコーヒーの淹れ方講座」(会員参加費1000円|定員4名)が開催され、4名がいずれも通勤前に参加したという。互いに入れたコーヒーの飲み比べをして、味の違いを体感して盛り上がったそうだ。

筆者が参加した12:00~13:30の時間帯は、「コミュナルランチ~ホットサンドPress~」(参加費600円)が開催された。テーブルには、定番のレタスとハム・チーズから、和風のサバ缶と大葉・コーン、フルーツを中心としたスイーツ系までさまざまな具材が並べられ、自分がセットしたものを順番に焼いていくスタイルだ。筆者は、チョコレートソースにフルーツとマシュマロという甘々のセットにしたが、マシュマロが溶けてプレス機にこぼれ出し、大変迷惑をかけてしまった。

さて、参加者に話を聞いてみた。日本橋に勤務している50代の男性は今回のイベントが2回目の参加だ。どうせランチを食べるのならと、今回のホットサンドイベントに参加したという。サバ缶サンドが、あまりにおいしそうだったので、筆者の甘々サンドと半分交換してもらった。こうした交流ができるのもイベントならではだろう。

桐葉恵さん(20代)は、友達から面白いことをやっている場所があると聞いて、今回初めて参加した。この日は自宅でリモートワーク中だったので、ランチ代わりに寄ってみたという。スタッフも交えてワイワイ食事をするのは、知らない者同士でも気づまりすることがない。桐葉さんは、次は朝のラジオ体操に参加しようかと検討していた。

「コミュナルランチ~ホットサンドPress~」の様子(筆者撮影)

「コミュナルランチ~ホットサンドPress~」の様子(筆者撮影)

人気のイベントは「詳しくない趣味をシャベル会」!?

多彩なイベントの中でも、参加者が多い人気企画の一つが「詳しくない趣味をシャベル会」。これまで4回開催して50名以上が参加したという。担当のダバンテス・ジャンウィルさんに詳しく聞いてみた。

趣味は何かと問われると趣味と言えるほどではないと躊躇してしまうが、「詳しくない趣味」なら気楽に好きなことやいつもしていることを話せるもの。「シャベル」としたのは話すことに加えて“掘る”という意味もあるそう。

では、これまでどんな「詳しくない趣味」が登場したのか。シュウマイやピザトースト、左官(実演付き)、無課金漫画を楽しむ、寝る前に怖い話を聞く、願望リストをいつも作る、といった趣味と言えるのかよくわからないものまで実にさまざま。なんでもありと言ってよいだろう。

会の具体的な展開はこうだ。初めにゲストプレゼンター数人が詳しくない趣味について説明する。それを聞いて、参加者はそれぞれ紙に自分の趣味(あるいは趣味のタネ)を書く。3人1組になってそれぞれが書いた趣味について語り合い、終わると別の3人で組んで同じように趣味を語り合う。そのときのルールは、相手の趣味の話を聞いて、通常より割り増しで感情を表現すること。最後に、誰の趣味が面白かったかのアンケートを取り、上位になった人には次のゲストプレゼンターになってもらう。こうして、参加者から次のプレゼンターが誕生するというユニークな仕掛けになっている。

この日の「+NARU NIHONBASHI」のスタッフたち(筆者撮影)

この日の「+NARU NIHONBASHI」のスタッフたち(筆者撮影)

この他にも、施設を利用したり、イベントに参加した人たちのリレーションを活用したイベントが開催されている。その一つが「街中に屋台を出してみたい」という学生会員の声から生まれた「夜読書時間~ときどき屋台~」。軽食やドリンクを提供するお手製の屋台が登場し、読書イベントに花を添える。このような会員が発案するイベントも増やしたいということだ。

日本橋の街づくりにコミュニティの力を活かす

さて、無料で会員登録ができ、会員になるとオープンスペースが利用でき、さらにミーティングルームやイベントスペースが低額で利用できる。そればかりではなく、筆者が体験したような気軽なイベントや「詳しくない趣味をシャベル会」のようなイベントまで、多彩なイベントが用意されている。会員には至れり尽くせりの交流拠点であることが分かった。

でも、場所を提供し、やりたいことをアシストしてくれるコミュニティマネージャーを常駐させることまでして、日本橋に交流拠点を置く理由はなんだろう。そこで、三井不動産 日本橋街づくり推進部 北村聡さんに話を聞くことにした。

日本橋の川沿いでは、他社も含め今後5つの再開発が予定されている。三井不動産は、歴史も文化もある日本橋の街づくりだからこそ、「共感・共創・共発」の考えのもとで、オープンな街づくりをしたいと考えているという。

この拠点に集まる人たちが、日本橋を好きになってアクションを起こすアシストをすることで、その人たちが将来的に、この街の課題を見つけたりそれを解決したりする人材となっていく。それは街づくりのプロでは思いつかないアイディアや手法だったりする可能性もあり、そうしたことを期待して、長期的にこの施設を運営していくということだ。

また、施設オープンから3週間で数百名が会員登録をしており、立ち寄った会員の7割近くが、日本橋徒歩20分圏内に勤務先や自宅がある人たちだという。今は個人会員を募集しているが、団体や企業登録などの選択肢も視野に入れている。地元の企業とのコラボレーション企画や日本橋を知るための地元研修の実施など、多くの可能性があるからだ。日本橋という立地とコミュニティ形成のノウハウを持つこの拠点なら、面白いことができそうだ。

●関連サイト
三井不動産ニュースリリース:コミュニティラボ「+NARU NIHONBASHI by MITSUI FUDOSAN」をオープン
公式WEBサイト

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記事提供元:タビリス