10倍堪能!海外旅行の超スキル⑦ 帰国前日にすること 小柳淳

ジョルダンニュース編集部

 楽しい旅が終わりに近づく。旅には始まりと終わりがある。ここが旅と流浪の違い。ちょっと寂しいけれど、帰国前日にホテルでクローゼットから衣類をスーツケースに戻しお土産を詰めたりすることに加えて、ちょっとしたプラスアルファ行動で安心が高まる。

ネット情報に頼りすぎは禁物


 空港への交通がバスの場合は、帰国前日にそのバス停まで行ってみる。インターネットで何でも分かってしまうと思いがちだが、バス会社や観光協会のWEBサイトが正確で常にアップデートされているかというと、そんなことはない。バス停位置が変更になっていることもしばしば。バスに乗れなかったり、探している間に次便に乗る羽目になってしまったりする可能性もある。自分で見て確かめておく方が確実だ。
 ノルウェーのベルゲンでのこと。前の晩に観光案内所で空港バス停を聞いた。インターネット情報とはかなり違う場所だったが、丁寧な説明を受け安心した。ところが、翌日に説明どおりバス停に向かうが、ない。いや、そうではなくバス停があるはずの公園入口が広くて見つけにくかったのだ。危うく乗り遅れそうになった。やはり前日に実地に行っておくべきだった。

空港行きバス停は普通の路線バスと一緒のことも多い(ベルリン市内)

鉄道なら安心ともいえない


 鉄道なら大きな駅から出るから安心。でも、複数の会社が列車を運行していることもある。関西空港行きに、南海ラピートとJRはるかがあるようなものだ。
 ウィーンではウィーン・ミッテ駅から特急シティ・エアポート・トレイン(CAT)が出ている。地下鉄駅もあり便利であるが、ウィーン中央駅とは異なること、CAT以外にも普通電車の空港行きがあり、ホームが異なるので要注意。無事CATに乗車した。ところが発車時刻になっても動かない。やがてアナウンスが入る。ドイツ語なので分からないが、車内はザワザワとして他の乗客が降車し始めたのでホームに出る。乗客案内に出てきた女性係員の「follow me」の声について移動する。こういうときは頼りになりそうな人から離れない方がよい。かなり歩いて着いた別のホームにCATが来た。でもそれは振替列車ではなく、30分後に発車する次の列車だった。
 列車もバスも運休があっても、ほぼ説明がなく、単純に次の便に乗るしかないことが多い。

ウィーン空港特急CAT 特急といっても自由席

言葉がわからずとも、テレビで情報を


 帰国前日の滞在地が空港から遠い都市のこともある。スイスのベルンにいたときだ。翌日、国鉄でチューリヒ経由チューリッヒ空港に向かう予定だった。その晩、ホテルでテレビを見ていると、なんと空港付近で鉄道事故があったという。ドイツ語でも映像と字幕でなんとなく理解できた。慌ててスマートフォンで国鉄サイトを見ると確かに事故だ。ホテルのコンシェルジェにも確認。翌朝は早めに駅に行く。幸いチューリッヒ行きは運転している。車内で車掌に空港への乗継方法を確認し、メモ用紙にチューリッヒ駅での乗換列車やホームを書いてもらう。こんなことのためにホテルのメモ用紙を何枚か持ってきておいた。ダイヤは乱れ、さらに変更があったが、とにかく大きく遅れず空港に到着できた。

国鉄のダイヤ乱れでホテルのメモ用紙が活躍 下が車掌メモ

 前日にはちょっとやりすぎくらいに交通を確認し、言葉が分からなくてもテレビニュースを点ける。そして帰国日は欲張らずに、飛行機の時刻にある程度余裕をもって空港に行くのが基本だ。
(写真:小柳淳)

小柳淳(こやなぎ・じゅん):1958年東京都生まれ。東京都立大学法学部卒。海外渡航122回、国内未踏3県。交通、旅行、ホテル業などを経て、旅行作家。VISIT JAPAN大使、日本旅行作家協会会員、日本香港協会理事。著書に『旅のことばを読む』、『香港ストリート物語』など。

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記事提供元:タビリス