多彩な登壇者がWeb3テーマに活発な論議 ホリエモンや橋下氏、玉木氏 ITイベントレポート:TIDE&WAVE
2025/4/28 13:37 ジョルダンニュース編集部

暗号資産、DAOなど、デジタルの思想で見据える日本の成長とは?
4月16日から17日にかけて、虎ノ門ヒルズフォーラム(東京・港)で「TEAMZ Web3/AI Summit 2025」が開催された。Web3やAIを活用したビジネスの未来を議論する日本最大級の国際カンファレンスである。トランプ米大統領が暗号資産の普及について前向きな発言をする中、スタートアップや大企業の関係者、政治家らが様々な角度から意見を述べ、現時点の期待や課題が浮き彫りになった。
17日15時からの「国際情勢の変化とテクノロジーの交差点:Web3・AIがもたらす地政学的インパクト」というセッションは、2日間のプログラムの中で、最も聴衆が集まったと言えそうだ。モデレーターを務めたフィナンシェCEOの國光宏尚氏は冒頭、「ちょっと前のセッションとかガラガラでしたよ」と笑いを誘っていた。

このセッションで、自民党の川崎秀人・総務大臣政務官は「暗号資産は以前は、資金決済法の対象としていただ、今は投資対象になってきたので、金融商品取引法の方に移行させようという議論になっている。6月末くらいにパブリックコメントにかけた上で結論が出れば、財務省にもガツンと言える」と指摘した。個人に撮って、利益が発生した際の税率が下がる可能性が出てくる。
元大阪府知事・元大阪市長の橋下徹氏は、「Web3を使えば、市町村議会議員はいらなくなる。国防や通貨政策は決められないが、市町村レベルであれば、DAOで決められる」と持論を展開した。
(編集部注)DAOは、「Decentralized Autonomous Organization」の略であり、日本語では「分散型自律組織」と訳される。従来の企業組織とは異なり、特定の管理者や代表者が存在せず、参加者全員が平等に意思決定に参加し、自律的に運営していく組織形態のことである。
実業家の堀江貴文氏は「言うたら、大半があぶく銭なんですよね。たまたまそういうものにはった人たちがめちゃくちゃ金持ちになってるんですよ」と現状を分析。その上で、暗号資産を資金調達に使えるかどうかという論点で、「非常に優れた仕組みが作りやすそうな気はするんだけど、なかなか使いづらいなあ。仕組みが複雑で。」と話した。これに対して、実際に資金調達したことがある國光氏がフォローしていた。
こうした議論を受け、橋下氏は、関連する法律の制定の必要性を訴えた。「デジタルの思想でない既存の法律に当てはめようと思ったら、せっかくのデジタルの良さが出なくなる。日本のデジタル化が遅れている最大の理由だ」と指摘した。
自民党の片山さつき参議院決算委員長は「デジタル人民元の台頭に対抗するためにも日米協調が必要」と述べた。日本は仮想通貨の取引や制度面で早期に法制化を進めている強みを持ち、国際ルール形成での主導を目指すべきと強調した。デジタル覇権競争と日本のWeb3.0やAIなどの戦略において、技術革新が技術優位を超えた地政学的競争に発展する政治状況を見据えた発言だ。森若幸次郎シリコンバレーベンチャーズ最高経営責任者(CEO)との対談「トランプ政権下の関税政策がもたらす未来:日本経済、Web3・AI産業への影響とその対策」の中で言及した。

国民民主党の玉木雄一郎代表のセッションも注目を集めた。通常、このようなカンファレンスには、与党・自民党の議員が登壇することが通例だ。玉木氏は、X(旧ツイッター)で「クリプト民のみなさん」と語りかけることもあり、暗号資産界隈の「シンパ」と受け止められている。「例えば党員証をトークンで出して、参加資格とし、デジタル上で管理して、ネット上だけで存在する政党を作ってもいいな」と考えたこともあると明かした。
暗号資産に関しては、利益に対する課税が大きいことが問題になっている。玉木氏は「私は去年の衆議院選挙で手取りを増やすということを大きな政策に掲げました。暗号資産の手取りも増やすということが、これからの成長戦略としても極めて大事だと思うので、国家戦略に位置づけて、しっかり進めていきたい」と語った。

ジョルダンニュース編集部