せめて70歳までは働ける社会に
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【舛添要一の僭越ですが(109)】平均寿命は世界1だが、制度追いつかず

舛添 要一 (国際政治学者)(News Socra)

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 今日、9月17日は敬老の日。厚生労働省の調査によると、100歳以上は6万9785人で、48年連続で過去最多を更新している。20年前の6.9倍、10年前の1.9倍だという。1963年には、わずか153人だったが、1998年には1万人を超え、2012年には5万人を突破した。

 内訳は、男性が8331人、女性が6万1454人で、88.1%が女性である。最高齢は女性で115歳、男性の最高齢は113歳である。

 100歳以上が約7万人もいるということは、戦後日本は平和と繁栄を勝ち取ったからで、それは誇るべきことである。特に、医療技術の進歩は目覚ましく、これも大きく貢献している。

 平均寿命は、2017年には、男性が81.09 歳、女性が87.26歳と、ともに80歳を超えており、まさに世界に冠たる長寿国である。 1995年には男性が76.38歳、女性が82.85歳、その20年前の1975年には、それぞれ71.73歳、76.89歳、30年前の1965年には、それぞれ67.74歳、72.92歳であった。

 第二次大戦直後の1947年には、それぞれ50.06歳、53.96歳、1935~1936年が、それぞれ46.92歳、49.63歳、1921~1925年が、それぞれ42.06歳、43.25歳である。つまり、1947年以前は、まさに「人生50年」だったのであり、戦後に急速に長寿化が進んだのである。

 平均寿命が伸びたのは日本だけではない。先進国、発展途上国を問わず、世界中で同じ傾向が見られるが、とくに日本人の平均寿命の伸び方はすさまじい。平均寿命の世界ランキングで、日本は1950~1955年に男29位、女34位であった。それが、1970~1975年には男6位、女8位と躍進し、遂に1990~1995年には男女とも1位となったのである。

 今や「人生100年」時代であり、半世紀で平均寿命が倍になるという変化が生じたのであり、人類の歴史の中でも特異なことだと言わなければならない。

 しかしながら、この急速な変化に様々な制度が追いついていない。50年前には、60歳で定年退職すると、10年以内に死亡するのが平均像であった。ところが、今や20年以上も長生きする。年金財政にしわ寄せが来るのは当然で、賦課方式なので若い世代の負担が重くなる。とくに、少子化が進行すると、その傾向が顕著になる。

 長寿化は急速に進んだが、問題は健康で長生きできるかどうかということである。健康寿命については、女性が74.79歳、男性が72.14歳である。平均寿命との差は、女性が12.47歳、男性が8.95歳である。

 つまり、死去する前の約10年は、治療や介護が必要な身となるということであり、当然のことながら医療費・介護費もかさむ。2040年には社会保障費が190兆円に膨張すると予測されている。健康寿命を伸ばすためには、規則的な食事、適度の運動、趣味や仕事などで精神的健康と社会的交流を維持することが役に立つし、生活習慣病の予防に心がけるべきである。

 このように、「人生100年時代」には、年金、医療、介護など、「人生50年時代」を前提に作られた制度では対応できなくなっており、社会保障制度全体の再構築が求められている。

 この問題については、自民党総裁選でも議論された。14日に行われた日本記者クラブ主催の討論会で、石破氏は「人生80年、85年時代になったときに、高齢者が誇りを持って暮らせる社会を構築することは極めて大事なことだ」と語った。

 安倍首相は、「65歳以上の雇用が継続されることを可能にしていく。中途採用を大幅に拡大していく必要がある。生涯現役であれば、70歳を超えても年金の受給開始年齢を選択可能にしていく仕組みをつくりたい」と述べ、それを3年間で実行する決意を示した。

 具体的に述べた安倍提案について言うと、問題の第一は働き方であり、第二は年金制度である。

 農林水産業を含む自営業者は、今でも健康である限り死ぬまで働き続けるのが普通である。会社などに雇用されていても、72~75歳まで健康であるのなら、せめて70歳までは働きたいと思うのは当然だし、それを可能にする仕組みが必要である。

 定年退職後働いて一定以上の収入があると、年金が減額される(在職老齢年金)が、これが高齢者の働くインセンティヴを殺いでいるとされ、最近では見直しの議論も出始めている。

 年金受給開始年齢については、今は、原則65歳であり、60歳から70歳の間で選択可能である。開始年齢については、財政制度等審議会で68歳に引き上げることが検討されているが、安倍首相の今回の提案は、選択可能時期について70歳を超えても可能にしようというものである。

 これまで4人の現役で1人の高齢者を支えてきたが、やがては2人で1人を支えなければならないようになる。年金制度は、積み立て方式ではなく、賦課方式で運用されてきたが、両方式とも利点と問題点があり、現行方式を変更せねばならない格段の理由はない。少子化に歯止めをかければ解決する問題だからである。

 1960年代の高度経済成長は過去のものであり、今日では20年以上のデフレが続いており、日本は、低経済成長下で高度福祉社会を構築するという難しい課題に直面している。社会保障制度の総合的な見直しが喫緊の課題である。

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