昔の話をする回想法が効果大
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【尊厳ある介護(57)】否定せず、共感して傾聴しよう

里村 佳子 ( 社会福祉法人呉ハレルヤ会呉ベタニアホーム統括施設長 )(News Socra)

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傾聴は信頼を得る近道(里村氏提供)

 認知症の人は記憶や判断力が低下することもあって、自信を失い不安になる人が多く見受けられます。

 ところが、そのような人でも昔の話は良く覚えていて目を輝かせて話されます。

 そこで、私たちが取り入れているのが回想法です。

 回想法とは、1960年代にアメリカの精神科医ロバート・バトラーが提唱した、昔の写真、音楽、道具などを使って懐かしいできごとや思い出を語り合う一種の心理療法です。

 回想法を実施することで、次のような効果があると言われています。

 自分の生きてきた歴史を振り返ることで、困難な場面を乗り越えて頑張った自分を思い出し、自信を取り戻すきっかけになります。

 他者に人生を語って共感してもらうことで、今の自分を肯定的に受け入れられるようになります。

 話を聞いてもらうことで不安や孤独感が和らぎ、高齢者に多いうつ症状の緩和や予防に繋がります。

 コミュニケーションを取ることで、脳が活性化し認知症進行の抑制や予防になります。

 介護者が認知症の人の思い出を知ることにより理解を深め、良好な関係を築くことができます。その結果、その人の心が安定し介護者の介護軽減になります。

 私たちが回想法を実施する上で注意をしているのは、共感して傾聴すること、話が間違っていても否定しない、繰り返されたとしても指摘をしない、話したくない時やふれたくない過去は無理に回想させない、話した内容は秘密を守るなどです。

 実際に回想法を定期的に実施したことによって、どういう効果が生まれるかこういうケースがあります。対応に悩むほど大きな声で度々怒りだす妄想のある認知症の男性が、穏やかになって驚かされました。

 また、無口な女性の高齢者が昔の家族の写真を見て涙し、亡くなったお姑さんがいかに立派だったかなどと思い出を多弁に語られたことがありました。

 そして、それを隣で聞いていたいつもは感情を表に出さないご主人が、自分の母親の思い出を話す妻の姿を愛おしそうに見つめられていた姿は忘れられません。

 回想法はグループでもマンツーマンでもできます。

 介護施設などにおいてグループで行うと、共通した話題でコミュニケーションを楽しむことができ、仲間作りになります。

 家族がアルバムや思い出の品などを利用して昔の話を一緒にすれば、もし過去に家族間で心のすれ違いがあったとしても、その修復の機会になることがあります。

 修復する過去がないにしても、あらためて家族のつながりを確認する貴重なひと時になるのではないでしょうか。



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