商店激減、今は3軒の山梨の村でコンビニ開店へ クラファンで誘致、地域交流も期待

J-CASTニュース

   キャンプ場の密集地や、水源地として知られる山梨県道志村に、村唯一のコンビニとしてローソンが2025年6月6日にオープンする。村内にはコンビニやスーパーがなく、村民の買い物環境整備のため、村がクラウドファンディングも活用しながら誘致活動を行ってきた。

   今後は、買い物環境整備の一環として移動販売も検討しているという。村の担当者は、「地域の(関係の)希薄化の解消や、頭を使って買い物することで介護予防的な観点もあるのかなと」と期待を寄せる。

「買い物以外の部分でも痒いところに手が届く環境に」

   5日にJ-CASTニュースの取材に応じた道志村ふるさと振興課の担当者によると、十数店舗あった商店が、後継者不足などから「ここ数十年で店舗数が3店舗」に減った。以前にはコンビニが存在したこともあったが、なくなってしまったという。

   クラウドファンディングのページには、「村民は、40分から1時間かけて近隣市町村への買い物に出かけています。コンビニさえ役場から近い場所でも25分程度となっています」と実態がつづられている。

   前出の担当者によると、23年度からコンビニの誘致活動を行っていたが、24年度に職員によるグループワーキングで、村の課題として子育て支援とともに買い物環境整備が挙がった。さらに、村民アンケートでも要望として挙がったことから、より力を入れることに。「チャレンジ」の意味もあり、寄付先のプロジェクトを選んで支援するガバメントクラウドファンディングで資金を集めることにした。

   クラウドファンディングのページを見ると、集まったのは175万円超。17.5パーセントと目標には達しない金額だったが、前出の担当者は「寄付者との繋がりや道志村の情報発信ができた」と話す。

   コンビニの「復活」に、村民からは喜びの声が大きいという。

「ちょっとしたことが村の中で完結ができないということに(村民は)非常に苦慮していた部分があったので、ATMやマルチコピー機など、買い物以外の部分でも痒いところに手が届く環境になって助かる、とみなさん話しています」

村民が就労する場を提供、移動販売も検討

   いわゆる「上下分離」方式での運営だ。コンビニの運営については、道の駅の運営もしている会社「どうし」が行う。建物は村が建てている。

   店内には「村の情報コーナー」を設け、観光情報などの発信も行う。道の駅の渋滞緩和のため、道の駅で販売しているお土産も取り扱うほか、村産の野菜など地場産品の販売にも力を入れるという。

   店員はできる限り村民を雇用し、村民の就労の場の提供も目的の一つとした。

   また、今後について、買い物環境整備の一環として、車がない人や高齢者へ向けて移動販売も検討しているという。

「地域の人が集まって買い物するコミュニケーションの場として、地域の(関係の)希薄化の解消や、頭を使って買い物することで介護予防的な観点もあるのかなと思っています」

といい、「ただ移動販売をして売り上げを上げるのではなく、行政サービスの面もある」と話した。

以前あったコンビニは「赤字だから辞めたわけではない」

   コンビニが閉店した過去もあるが、運営維持については問題ないのだろうか。前出の担当者は、以前あったコンビニについては「赤字だから辞めたわけではないと認識している」と説明する。また、移動販売での売り上げのほか、とくに夏は観光客からの売り上げも見込んでいるという。

   道志村にはキャンプ場や人気のツーリングスポットもある。東京五輪の自転車ロードレースの会場にもなった。コンビニには観光客が休憩できるようイートインを設けたほか、自転車ラックや広めの駐車場もあるといい、前出の担当者は「皆さん利用していただければ」と話した。

「観光客にも楽しんでもらえるし、村の人たちにとっても気軽に地元産の野菜などを買える場になると思います」
記事提供元:タビリス