タリーズコーヒーは、なぜ病院への出店に力を入れるのか 創業者が明かした「亡くなった弟」の存在

J-CASTニュース

   コーヒーチェーン「タリーズコーヒー」の運営会社を創業し、元参院議員としても知られる松田公太氏のX投稿が注目を集めている。投稿は、初めて病院に出店できた当時を振り返るもので、病院で亡くなった松田氏の弟の「願い」があったことを明かした。

   タリーズは2025年6月末時点でも多くの病院に出店している。松田氏は約15年前にタリーズコーヒーの経営から離れているが、現在でも病院内に展開する狙いはなにか。運営会社のタリーズコーヒージャパン(東京都新宿区)に取材した。

最初に出店承諾した東大病院に感謝

   注目を集めたのは、松田氏の25年6月29日のX投稿だ。タリーズコーヒーが病院に出店していることに感謝を示す投稿に反応し、初めて病院に出店できた当時の状況を振り返ったものだ。

   この松田氏の投稿によれば、多くの病院にコーヒーチェーンの出店を断られた。だが、東京大学医学部附属病院(東京都文京区)は承諾してくれたと感謝を示した。そして、次のような経緯があったことを明かした。

「33年前に病院で楽しいことが一つもなく死んでいった弟(当時21歳)の願いが叶えられた瞬間でした そこから多くの病院から連絡を頂き、出店を続けました」

   この投稿は6月30日19時までに約10万もの「いいね!」を集めるなど話題に。松田氏も30日、この反響について「これだけ多くの人に病院店舗を憩いの場として使って頂いていることを知り、胸が一杯。弟も喜んでくれているはずです」と書き記した。

全店舗の1割が病院内に

   タリーズコーヒージャパンの広報グループは取材に対し、次のように狙いを語る。

「ホスピタリティを追求した店舗形態の位置づけとして患者さんやお見舞いの方々、職員の皆様がホッと一息つけるような憩い場所を提供したいという思いで、現在も出店展開をしております」

   広報によれば、病院内店舗は現在95店舗。全店舗数の約10%を占める。先述の東大病院1階にある「タリーズコーヒー 好仁会東大病院店」を04年4月27日に初めて出店し、現在では、日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)や東京医科大学病院(東京都新宿区)などにも出店している。

   初めて病院に出店した経緯については、次のように振り返る。

「当時の創業者の想いと、2004年当時、病院内に喫茶店は多く併設されていたのですが、カフェはほとんどありませんでした。しかし、患者さんや病院内で働く方々、近隣住民の方々など、病院内でのカフェのニーズがあり、弊社の経営理念のひとつである『地域社会に根ざしたコミュニティーカフェとなる』を体現できると考え、出店した経緯がございます」

   今回の松田氏の投稿には、実際の利用者から感謝の言葉が続々と寄せられている。こうした声が、同社にも届いている。入院中の患者からは「タリーズがあるから、お見舞いに来てくれた人と一緒にお茶できてよかった」。また、「入院中いつも利用していたら、スタッフが顔を覚えてくれてうれしかった」という感謝の手紙を貰ったこともあるという。

   広報は、今後の方針について、「今後も患者さんや医療スタッフの皆さまにほっとできる空間を提供できるように、いろんな病院様とご一緒させていただけたらうれしく思います」としている。

記事提供元:タビリス