「男性パンツが売れると景気は良い」 日本の「男性下着指数」最近どうなっている?
2025/5/31 16:00 J-CASTニュース

経済学者の一番の仕事は、自分の予測が外れた時の言い訳を考えることだと笑った皮肉屋がいた。それほど景況判断やましてや経済の行く先を予想するのは難しいということだが、そんなときにもっともらしく語られるのが"巷の指数"である。よく知られるのが「ビッグマック指数」。各国のビッグマックの価格を比較することで、その国の為替レートや物価水準、購買力など経済状況を推し量ることができるという。
リーマン・ショックや新型コロナの時は激減
「男性パンツでも不況を予想することはできる」と、「男性下着指数」を唱えたのは、米FRB(連邦準備制度理事会)の元議長アラン・グリーンスパン氏だ。男性パンツが売れなくなると不況が近いという分析で、なぜそうなのか。パンツに穴が開いたり擦り切れても、だれに見られるわけでもないから、懐がさみしいとなかなか買い替えない。つまり、消費が冷え込んでいるのだと、経済界の重鎮は笑いながら解説したという。たしかに、リーマン・ショックや新型コロナ・パンデミックのとき、米国内の男性下着の販売数は激減している。
2023年メンズインナー出荷額は大幅増
日本では減少の理由がもう一つ加わって、「家計が苦しくなると、お父さんは新しいパンツを買ってもらえない」というのがあるそうだ。下着メーカーのワコールの調査では、男性のパンツ保有枚数は平均8.7枚、またグンゼのアンケートによると、「3年以上」穿き続ける人が最多で44%、次いで「1~3年」が41%だった。保有枚数が減り、長く穿くようになると、景気は下向きということか。
では、いま日本の男性下着指数はどうなっているのだろう。日本ボディファッション協会が発表した2023年の出荷額は、レディースインナーは前年比減少だが、メンズインナーは56%の大幅増だった。となると、景気は上向きということだが、その実感はあまりない。実質賃金はマイナスだしなあ。まあ、新しいパンツに穿き替えれば景気が良くなるわけではないが、気分は明るくなる。
(シニアエディター 関口一喜)