「あいのり」タクシー活用次世代観光・地域交通プラットフォーム構築実証事業開始 ジョルダン、熱海市で産学官連携による観光客誘致と交通弱者救済のための便利で低コストなシェアサービス実現へ

ジョルダンニュース編集部

「熱海復活」と注目を浴び、コロナ禍以前は熱海駅前商店街はこの通りの賑わい



 ジョルダンは熱海市で、観光客誘致と交通弱者救済に向けた「あいのり」タクシー活用次世代観光・地域交通プラットフォーム構築実証事業を開始した。この事業は熱海市や熱海市商工会、熱海市観光協会、熱海市温泉ホテル組合、静岡県タクシー協会熱海支部、熱海高校、国立高等専門学校機構沼津高等専門学校、株式会社エクトラとの産学官連携によるもの。

 魅力的な観光コンテンツの動画配信を通じて、観光客の誘致し、同市を訪れた観光客が、その観光コンテンツに触れ、楽しむために利便性に富み、低コストな移動支援を行うシステム提供事業を展開する。それとともに、地域の交通弱者のため、同様に便利で低コスト、高付加価値の移動支援システム提供事業の実証支援も行う。

実証事業は、ジョルダンが主体となり、12月中旬から2022年2月末まで行う予定。このほど支援組織として「熱海次世代観光・地域交通プラットフォーム協議会」を設立し、活動を開始した。

熱海次世代観光・地域交通プラットフォーム協議会の記者会見


再び「熱海復活」を目指して


 熱海市は全国有数の温泉地であり、東京都心からも好立地にあることから賑わいをみせていた。しかし、バブル経済崩壊以降は、観光客層が変化し、若年層が増えるとともに宿泊客が減り、観光消費額も低下した。観光客の移動範囲も市街地及び近隣に限られるようになった。この結果、地域全体としては観光消費が減り、一部の観光事業者を除き、多くの観光事業者が厳しい経営状況に陥っていた。

 ただ、同市や観光事業者らの努力により、メディア戦略も奏功し、コロナ禍以前は年間宿泊客数が5年連続で300万人を超えて「熱海復活」と称されてきた。しかし、コロナ禍の影響は甚大で、2020年の宿泊客数は前年比約40%減の185万6884人となり、再び「熱海復活」が課題となっている。

 交通ネットワークに関しても、バス路線の縮小が続き、地域の足として頼られるタクシーにおいても例外ではなく、事業継続に危機感を感じている事業者も少なくないといわれる。

 また、多くの観光地に見られるように、地域では高齢化が進んでいる。特に、同市は温暖な気候と都内への移動も容易なため、高齢者の移住も増えているが、バス路線の縮小と自動車免許返納の動きも絡んで、交通弱者が増加している。

 このような状況下で、沖縄や宮古島で MaaS(Mobility as a Service の略)の実証を進めている「乗換案内」のジョルダンと熱海市の有志団体が、地域の足であるタクシーの維持存続を前提に、「あいのりタクシー」を活用し、これらの状況改善のための施策の検討を開始したのが、支援対象事業立案のきっかけとなった。

主要な施策は以下の通り。
①現在の顧客層である若年層の行動範囲と消費拡大
②従来の客層であった中高齢層の呼び戻し
③コロナ後の新たな客層としての外国人の呼び込み
④地域交通弱者の救済と交通不便地域の解消
⑤④を実現する地域住民の足であるタクシーの維持存続
⑥避難支援等将来に向けたプラットフォームの活用研究
記事提供元:タビリス