切符購入の手間いらず モバイルチケットで小湊鐵道の旅

ジョルダンニュース編集部

小湊鐵道モバイルチケットはスマホから購入できる

 ゴールデンウィークの5月初旬、千葉県の小湊鐵道に揺られてきた。地元の人たちが小湊線と呼ぶこの鉄道は、JR内房線五井駅と上総中野、延長39.1㌔を約70分で結ぶローカル私鉄だ。この路線の駅には自動改札がないから、当たり前と思っているパスモやスイカなどの交通系ICカードは使えない。そこで威力を発揮したのが、ジョルダンが提供しているモバイルチケットだった。ジョルダンと関わるようになって日が浅いため、筆者はモバイルチケットの利用は初体験だが、便利このうえなかったので紹介する。

乗り鉄、撮り鉄に人気、房総里山トロッコ列車が走る


観光客に人気の房総里山トロッコ列車

 その前に小湊線の小さな旅に触れてみる。この路線はここ数年、撮り鉄、乗り鉄ばかりか、家族連れなどにも人気で、この日も沿線にはカメラを構える「鉄ちゃん」が目についたし、車内では家族連れやカップルがスマホで車窓をカメラに収めていた。
 というのも、起点のJR五井駅は東京駅から約1時間。都内にも通勤できる立地ながら、沿線にはのどかな里山が広がる。小湊線の五井から5つ目の光風台駅近くに住む友人が東京・日本橋まで通っていることを思い出した。その光風台あたりを過ぎると、“里山度”がグッと増す。小湊線は全18駅のうち、13駅が無人駅。一両だけのディーゼルカーが停車すると、車掌がホームに降りて切符を確認する。草ぼうぼうのホーム、駅と言っても広告看板があるわけではなし、パスモなどをタッチするたびに耳にするピッという自動改札機の耳障りの音もなく、なんだかホッとする。

手続き約3分。切符購入の列をすり抜け乗車


上総大久保駅の無人駅舎

 話を五井駅に戻す。昼前に内房線の電車はJR五井駅に到着した。ここまでは新宿からスイカで精算できた。小湊線の乗換口に向かったのだが、そこには長蛇の列。交通系ICカードが使えないため、現金で紙の切符を買おうとする人たちが列をなしていた。改札通過ではカードをかざすだけというのに慣れてしまっている人たちからは、「乗る予定の列車が出発しちゃうよー」という悲鳴に近い声が聞こえていた。
 筆者も終点から2つ目の上総大久保駅で、駅近くに住む親せきに迎えに来てもらうつもりだったので出発に間に合わないかと焦った。その時、列車の出発時刻を確認するためジョルダンの乗換案内アプリを開いた。そして偶然にも、小湊線の1日フリー乗車券のモバイルチケット(1,840円で、飯給駅より先までの乗車なら往復運賃より安い)を見つけた。
 モバイルチケットとは何かは社内会議などで聞いていたが、実は食わず嫌いだった。購入するためには、まず利用者登録をしなければならない。列車の出発時刻が迫るなかで、スマホの操作が円滑に進むか、不安だった。しかし、登録から購入まで3分程度で終えた。支払いはペイペイで済ませた。なんだ簡単ではないか。紙券購入で混雑する人たちの脇を通り抜け、臨時窓口で、スマホ画面に表示されたモバイルチケットを見せて、ホームに向かった。改札をスムーズに通ったため、臨時の3両編成のディーゼルカーの座席を早々と確保できた。発車時刻が近づくにつれ、車内は混んできて座れない人も出ている。

線路は続くよ♬ 難読地名駅、無人駅を進む


時刻表はご覧の通り、列車本数は少ない

 出発! 五井から数駅は沿線に住宅が見える。前述したように、光風台から都内へ通勤している知人もいるからだ。海女有木、飯給*など難読駅の上位に顔を出す駅を通過する。
 途中で、観光客に人気で、テレビなどでも取り上げられることが多い蒸気機関車をモチーフにしたクリーンディーゼルがけん引する「房総里山トロッコ列車」とすれ違った。運転日限定の観光列車だ。車内の乗客たちがいっせいにスマホを向ける。「機関車トーマスみたいだ」とはしゃぐ子供もいた。そうこうしているうちに目的地の上総大久保駅に着いた。ホームに降りてきた車掌にスマホの画面を見せ、モバイルチケット利用であることを示した。降車したのは筆者一人。列車はあっという間に走り去った。

下車したのは筆者1人。列車はすぐに走り去った

 駅舎とも呼べないような小さな建物を出ると、大型バイクでツーリングに来ていた男性が休憩していた。静寂。ホームの端から端まで歩き、写真を撮った。時刻表もあった。ほぼ一時間に一本。それすらない時間帯もある。
 帰路もモバイルチケットの画面を見せて難なく乗車。終点のJR内房線五井駅からはスイカを使って都内の自宅に帰り着いた。
 帰宅して、改めて友人、知人たちにモバイルチケット利用について話した。利用経験者は少なく、説明するのに手間取った。しかし、小湊線に乗ったことのある何人かの人たちが、同じように列車の出発時刻にヤキモキしながら紙の切符を買うために列に並んだ経験を話してくれた。そして口々に「今度はモバイルチケットを使ってみる」と言ってくれたのはうれしかった。

(ジョルダンニュース編集部・神崎公一)

*海女有木=あまありき、飯給=いたぶ
記事提供元:タビリス