孫泰蔵氏と馬渕邦美氏らが生成AIの強力チーム 新会社「Xinobi AI」が始動 第1弾サービスは自治体向けAIエージェントの「HANZO」 ITイベントレポート:TIDE&WAVE

ジョルダンニュース編集部

日本特有の「暗黙知」を学習させる仕組みも取り入れ“地方から日本を変える

ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長の孫正義氏の弟で、連続起業家の孫泰蔵氏と、経営コンサルタントの馬渕邦美氏が、世界トップレベルのエンジニアと共に生成AI企業「Xinobi AI(シノビエーアイ)株式会社」を設立した。12月5日に記者会見し、会社設立と新サービスを発表した。

新会社「XinobiAI」の始動を発表した創業メンバー。左から順に、アラン小松崎氏、馬渕邦美氏、孫泰蔵氏、林駿甫氏。

Xinobi AIは、従来のAIとは一線を画す、自律的に思考し行動する「AIエージェント」の開発に特化した企業だ。ユーザーの指示を待つだけでなく、自らタスクを理解し、必要な情報を収集、分析、そして新たな提案を行うなど、従来のAIを超えた機能を持つ。

孫氏は、AIエージェントを従来のITシステムと比較し、「AIエージェントは人間の期待を超える働きをし、生産性と質の向上を自律的に行うことができる」と説明した。「経済成長だけでなく、新しい時代に対応する変化を加速する」という。

AIエージェントの意味について、孫泰蔵氏はにぎりずしに例えて説明する

馬渕氏は、「インターネット、スマートフォンに続く、今後10年間で世界を変える存在はAIである」と断言。AIの普及は避けられないとし、Xinobi AIは「新しい学びと体験を生み出す」存在だと強調した。チームには、AIに指示や情報を入力するプロンプトエンジニアリングの第一人者として知られる林駿甫氏、そして、ジョージア工科大学機械学習博士で大規模言語モデルの一つであるGPT-Jの共同開発者であり、画像生成AIのStable Diffusionの開発にも貢献した、アラン小松崎氏も参加した。

会見では、同社のプロダクトの第一弾として、自治体向け AI エージェント「HANZO(ハンゾウ)」を発表した。

自治体向けAI エージェント「HANZO」を発表する、孫泰蔵氏(右)と馬渕邦美氏(左)。

「HANZO」は、行政機関や企業が抱える人手不足や業務効率化、住民サービス向上、防災対応力強化などの課題解決に貢献するAIエージェントとして開発した。具体的には、新人職員・社員の教育支援、問い合わせ状況の可視化、限られたリソースの効率的な活用、窓口対応の負担軽減などを実現する。日本特有の「暗黙知」を学習させる仕組みも取り入れる。ベテラン職員の経験に基づいた業務処理や、地域特有の慣習などをAIが学習することで、よりきめ細やかで質の高いサービス提供が可能になる。

会見には、デジタル大臣の平将明氏もビデオメッセージで登壇した。「行政の効率化にAIは不可欠であり、住民満足度向上と人手不足解消に貢献する」と、新会社のサービスに期待を寄せた。また、新潟県三条市副市長の上田泰成氏はオンラインで参加し、「職員が市民からの問い合わせ対応に追われる現状を、AI導入で改善し、職員が付加価値の高い業務に集中できる体制を構築したい」と期待を述べた。

デジタル大臣の平将明氏も、新会社のAIエージェントの取り組みに期待を寄せる

Xinobi AIは、2025年以降、HANZOをはじめとした様々なAIエージェントを発表する予定だという。AI技術を駆使し、社会課題の解決に貢献していくという彼らの挑戦は、今後のAI業界の動向を占う上でも注目される。

(ジョルダンニュース編集部)

記事提供元:タビリス