生ビールは何が「生」なのか ビンビールや缶ビールでも「生」表示があるが

J-CASTニュース

   猛暑続きのこの夏、仕事帰りに居酒屋に飛び込み、カラカラの喉に冷えた「ナマ中」を流し込んで、「ああ、しみるう」と声を上げている人のなんと多いことか。気象会社「ウェザーニュース」の調査では、35度の猛暑日は8割の人がビールを飲みたくなるのだそうだ。たしかに、ぐるなびのリサーチ部が20~60代の1300人に聞いたところ、「猛暑によってビールを飲む頻度や量が増える」という人は4割近くもいた。

日本酒のように燗にしないからナマ?

   どこで飲んでいるのか。飲食店では「月に1回くらい」、自宅では「週に1~2日くらい」が最も多かったが、50~60代男性は週5日以上、つまりほぼ毎日飲む人が2割いる。ビール大手4社は2025年4月に缶ビールなどを値上げしたが、60代の半数は「特に影響はない」としていて、値上げで量や回数を減らすことはなかったようだ。年齢が上がるほどビール好きは多いらしい。

   「ングング」「プハーッ」と飲み干す生ビール、では「生」ってなにがナマなの? 日本酒のように燗をしたりしないのだから、ビールは生に決まってるでしょと思えるが、実は製法が違うのだ。

フィルターで酵母を濾過して取り除く

   ビールは大麦の麦芽を細かく砕いて温水と混ぜて麦汁を作り、ホップを加えて発酵・熟成させるのだが、そのままでは発酵がどんどん進んでしまう。そのため60~70度の加熱をして酵母や雑菌を死滅させる(パストリゼーション)。これが熱処理製法。一方、「生」はフィルターで酵母を濾過して取り除く。熱を加えないので生というわけだ。今はこの「濾過製法」が主流となっている。ちなみに、非熱処理でないとビンや缶に「生」と表示できない。

   生はホップの香りとすっきりした味わいが好まれているのだが、最近はコクと苦みがおいしいと、熱処理した昔ながらのビールの人気が復活している。銘柄では「サッポロラガービール」(通称「赤星」)や「キリンクラシックラガー」だ。猛暑の時は軽快な「生」、涼しくなってきたら重厚な「赤星」や「クラシック」なんて飲み方が通っぽいかも。

(シニアエディター 関口一喜)

記事提供元:タビリス