マクドナルドとスターバックス、紙ストロー廃止の動き進む 実用性か?環境か?企業はジレンマ
2025/11/2 18:00 J-CASTニュース

環境配慮から導入された紙製ストローが岐路に立っている。
消費者から「ふやける」「味が変わる」といった不満があがるなか、日本マクドナルドは2025年11月から紙ストローを順次廃止し、コールドドリンク(紙カップ用)のフタをリサイクルPET製のストローなしで飲めるフタ「ストローレスリッド」へ変更する。
一方、スターバックス コーヒー ジャパンも1月から紙ストローを順次廃止し、生分解性バイオマスプラスチック製ストローへと切り替えているが、両社の対応はなぜ分かれたのだろうか。
紙ストロー、消費者から不満が相次ぐ
2020年代に入り、環境配慮の象徴として飲食チェーンが相次いで導入した紙ストロー。しかし消費者からは厳しい評価が相次いだ。
最も深刻だったのが「味」の問題だ。SNSなどでは、「紙の味がする」「コーヒーの風味が台なし」といった不満が相次ぎ、特に香りを楽しむドリンクでは紙特有の風味への抵抗感が強かった。
また、「ふやける」という指摘も多く、「20分も持たない」「飲み終わる前にストローが使えなくなる」といった声も見られた。
企業側にとっても、プラスチック製と比べて5~10倍のコストがかかるとされる紙ストローは経営課題となっていた。
マックとスタバ、対照的な解決策
こうした状況を受け、大手チェーンが相次いで方針転換に踏み切った。
日本マクドナルドは、25年11月19日からコールドドリンク用のフタをリサイクルPET製の「ストローレスリッド」に順次変更すると発表した。同社が3年以上かけて開発したこのフタは、ストローなしでも「ゴクゴク飲める」飲みやすさが特徴だ。これにより紙ストローの提供は順次終了する。
一方、スターバックス コーヒー ジャパンは別の道を選んだ。1月から順次全国の店舗で、カネカの生分解性バイオポリマー「Green Planet」製のストローを導入。このストローは植物油を原料とし、海水中で生分解される特性を持つ。紙ストローと比べて飲み心地が改善されるほか、店舗から出るストローの廃棄物量が年間約200トン削減される見込みだ。
実は、大手チェーンの中でいち早くこの問題に取り組んでいたのがセブン-イレブン・ジャパンだった。
セブン-イレブンは19年8月に高知県の店舗で、カネカの生分解性ポリマーPHBH製ストローの試験導入を開始した。同年11月には全国約1万店のセブン-イレブンが、このストローを導入した。
環境と実用性、企業の模索続く
紙ストローをめぐる一連の動きは、企業が直面する難しい問題を浮き彫りにした。
環境・社会・企業統治を重視するESG経営が求められる中、脱プラスチックへの取り組みは企業の社会的責任として避けられない。一方で、消費者の満足度が損なわれれば、売上や企業イメージの低下につながりかねない。
マクドナルドは22年から容器包装類の見直しを進め、年間約6600トンのバージンプラスチック(リサイクル品ではないプラスチック)削減を見込む。
スターバックスは20年に紙ストローを導入後、21年6月には構造を3層から4層に変更するなど改良を重ねてきた。今回のバイオマスプラスチック製ストローへの切り替えは、こうした試行錯誤の末の決断だ。
環境問題への対応は待ったなしだが、消費者の声に耳を傾けることも企業にとって重要だ。マクドナルド、スタバ、セブン-イレブンの取り組みは、環境と実用性をいかに両立させるか、各社が模索する過程を示している。









