渦中の「CBD」サプリ、国内では厳格な基準で販売 新浪氏は米国で購入、厚労省「怪しい製品は控えて」

J-CASTニュース

   サントリーホールディングス(HD)会長を辞任した新浪剛史氏は、2025年9月3日の会見で、適法だと身の潔白を強調したが、大麻由来の成分を含むCBD(カンナビジオール)のサプリメントを米国で購入したことを明らかにした。

   CBDには、日本では違法とされる成分のTHC(テトラヒドロカンナビノール)が微量含まれる可能性があり、日本国内では、厳格な基準で販売されている。新浪氏は、結果として自らの行動が招いた結果だとして、「私の不注意だった」と認めた。

新浪氏「十分注意しないといけなかった...」

「サントリー以外のサプリをなぜ購入したのですか?」

   経済同友会の代表幹事としての定例会見で、記者からこう指摘され、新浪氏は、厳しい表情を浮かべながら、こう釈明した。

「すべてのサプリを作っているわけではなく、買うことはあります。しかし、十分注意しないといけなかった......」

   新浪氏の説明によると、米ニューヨークの知人女性から勧められ、新浪氏は、適法だと確認したうえで、CBDのサプリを購入した。4月の出張のときに持ち帰る予定だったが、それはできなかった。しかし、この女性が福岡県内に住む弟を通じて、新浪氏にサプリを郵送し、その後、弟は、麻薬取締法違反の疑いで逮捕されてしまった。ただ、新浪氏の妻は、怪しい郵便物は捨てているといい、県警が8月22日に家宅捜索に入ったときは、空振りだった。新浪氏も、尿検査で陰性だったという。

   新浪氏はこの日のうちに、会社に連絡を入れ、米国出張中の26日には、臨時取締役会で新浪氏がリモートで説明をした。しかし、その後、新浪氏以外は辞任を求めたといい、新浪氏も、会社に迷惑をかけられないと9月1日付で自ら会長の辞表を出した。

   新浪氏が家宅捜索を受けて辞任したことが報じられると、サントリーHDが2日に緊急会見を開き、鳥井信宏社長は、サプリメントを扱う会社のトップとしての認識を欠いていたと指摘し、その地位にふさわしくないと説明した。

   新浪氏も3日の会見で、この指摘に言及し、適法との認識は変わらないものの、会社の判断を尊重したと辞任の理由を明らかにした。

厚労省「健康被害が多発するようであれば対応したい」

   CBDのサプリに関しては、確かに、日本でも、様々な商品が流通している。大手メーカーの大正製薬でも、自ら開発した商品「CBD taisho」を販売している。

   ただ、同社の公式サイトでは、次のように説明してあった。

「正規の手続きにて輸入した原料を、指定機関の成分分析によりTHC等が法定基準以下であることを確認した上で、日本国内のGMP認定工場にて、加工・製品化しております」

   CBDは違法の可能性もあるため、「THC等が法定基準以下」と赤字で強調していた。

   今回の騒ぎで、CBDの商品PRにも影響が出ているようだ。

   英ブランド「ネイチャーカン」の日本子会社は9月2日、公式Xなどにお知らせを出した。

「一部報道を受け、CBD製品に対する誤解や不安が広がっています。しかし、Naturecanが日本で販売するCBD製品はすべて日本の規制に準拠しており、一切関係ございません」

   内外で流通しているCBD製品について、厚生労働省の監視指導・麻薬対策課は3日、J-CASTニュースの取材にこう話した。

「輸入製品に違法のTHCが確認されれば、規制の対象になりますし、日本に出回っているものでも、それが含まれれば同様です。怪しい製品は、何が含まれているか分かりませんので、安易に手を出さないようにお願いします。健康被害の恐れがあり、自分の身を守るためです」

   ただ、CBDは、麻薬として規制していないため、注意喚起をするのは難しいという。

「単なる食品ですので、病気が治るなどと医薬品と誤認させる広告はできません。効果をうたうなら、医薬品としての承認が必要になります。現時点では、規制の検討はしていませんが、健康被害が多発するようであれば対応したいと考えています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

記事提供元:タビリス