500円玉の代わりに価値10分の1の「500ウォン」...なぜ昔から被害絶えない? 古銭鑑定士に聞く騙されないポイント
2025/11/7 17:21 J-CASTニュース

「やられた。。お会計で500円じゃなくて、500ウォンだしていったやつがいました」
福島県にあるラーメン店のX投稿が注目を集めている。500円玉の代わりに、よく似ていて貨幣価値の低い韓国の500ウォン硬貨で支払う、または500ウォン硬貨を使って偽造500円玉を作るといった行為は少なくとも20年以上前から問題になっているが、こうした報告が今でも後を絶たない。現金でのやり取りの際にはどのような点に気を付けるべきか、古銭鑑定士に話を聞いた。
「スタッフが記念硬貨だと勘違い」
福岡県二本松市のラーメン店「麺屋しん蔵」のXは2025年11月4日、「やられた。。 お会計で500円じゃなくて、500ウォンだしていったやつがいました。気づかなかったのも悪いけど」と報告した。
Yahoo!ファイナンスによると、7日の取引レートでは、500ウォンは約52.6円だ。麺屋しん蔵のX投稿も「10分の1の価値くらい50円くらいかな」と言及し、「飲食店の皆さん気をつけてください。流行ってるみたいです... 詐欺です」と呼びかけた。
6日にJ-CASTニュースの取材に応じた麺屋しん蔵の担当者はこの事案について、対面での会計で「スタッフが記念硬貨だと勘違いしました」と説明した。警察への届け出はしておらず、その予定もないという。
今回の件について、次のように憤った。
「初めての経験でしたが、悪意しかないと思います。500ウォンが流通している以上なくならないと思います。これから年末年始で多忙な時期になると思います。インバウンドで外国からの観光客も増えておりますし、より一層気をつけていかないといけないと思います」
Xではこのほかにも、500ウォンで支払いをされた、おつりで受け取ったのが500ウォンだったとの報告や、現金でやり取りすることの多い同人誌即売会などで同様の被害に遭う可能性があるとする注意喚起の投稿も見られる。また、3月には徳島県三好市にある「道の駅大歩危」がXで、カプセルトイに100円玉の代わりに香港の50セント硬貨が使用される被害に遭ったと報告した。
500円と500ウォン、見分けるポイントは...まず「疑う意識を持つこと」
では、このような被害を避けるためには、現金で会計をする際にどのような点に気を付ければよいのだろうか。J-CASTニュースは古銭買取専門店「アンティーリンク」(東京都豊島区)の古銭鑑定士・渡邉博さんに聞いた。
渡邊さんはまず、
「額面の『500』という数字も、色・大きさ・重さまでもそっくりなので、まずは『500円玉を見たら、もしかして500ウォンかも』と疑う意識を持つことが大切です」
とした。確認のポイントについては、
「コインを裏返してみましょう。500ウォン硬貨は日本の硬貨と違う図柄(ツルの絵など)が刻まれており、見慣れないデザインに違和感を覚えるはずです」
とアドバイスする。
なぜ、500円玉の代わりに500ウォン硬貨を渡す被害が絶えないのだろうか。渡邊さんは、「500ウォン硬貨は500円玉と同じ大きさなのに、価値はおよそ10分の1(約50円程度)しかありません」と指摘。そのうえで、次のように説明した。
「そのため、見た目を利用すれば『50円で500円分の商品をだまし取れる』という価格差が生まれてしまいます。また、『まさかそんなことをする人はいないだろう』と思い込む日本人特有の信頼文化や油断も、被害が絶えない一因と考えられます」
日本円にそっくりなコインはほかにも...注意すべき海外コインは
道の駅大歩危の例であった100円玉と香港50セントを見分けるポイントはどうか。
渡邊さんは、「大きさと重さはほぼ同じですが、色味とデザインがまったく異なります。香港50セント硬貨は銀色ではなく、やや黄色味のある金色系で、額面の数字も違います」と指摘。「『似たコインが存在する』という知識を持ち、受け取った小銭を軽く確認するクセをつけることで、違和感にすぐ気づけるかと思います」とした。
500ウォンや香港50セント以外にも、世界には日本で流用している硬貨によく似たコインがあるという。渡邊さんは、次のように例を挙げた。
「・韓国10ウォン硬貨→日本の10円玉にそっくり」
「・韓国100ウォン硬貨→日本の100円玉にそっくり」
「・ノルウェー 1クローネ硬貨→日本の50円玉にそっくり」
「・中国の1角硬貨→日本の1円玉にそっくり」
「・韓国のバストークン(交通用トークン)→日本の5円玉にそっくり」
特に注意すべきなのは、価値の差が大きい10ウォン硬貨と100ウォン硬貨だという。10ウォンは日本円で1円、100ウォンは10円程度だ。
「価値の差があるため、うっかり混ざるだけでなく、悪意をもって使われる可能性もあるかと思います」









