ふるさと納税「ポイント付与」10月から禁止、楽天が無効求めて提訴 なぜこんな措置が?総務省の見解は

J-CASTニュース

   ふるさと納税のポイント付与について、総務省が2025年10月から禁止する方針を「告示」で打ち出していたことに対し、納税のポータルサイトを運営する楽天が、告示の無効を求めて東京地裁に提訴した。

   同社では、ポイント付与が納税の普及や促進に寄与していると主張しているが、総務省は、なぜ禁止するのだろうか。市町村税課に見解をただした。

「ポータルサイト事業者へ過剰な規制を課す」と主張

   ふるさと納税を巡っては、その自治体で実際に製造したわけでもないのに、地場産品のように返礼品を扱ったりするケースなどが話題になった。総務省は24年6月28日、納税の指定基準を見直すと公式サイトで発表し、10月からは、その価値の多くが自治体内で生じている返礼品に限るなどと告知した。

   それと同時に、ポイントを付与するポータルサイトを通じて自治体が寄付を募集することを禁止する措置を導入すると明らかにし、こちらは翌25年10月から適用されることになった。発表では、「ポイント付与に係る競争が過熱」していることを理由に挙げている。

   この措置に対し、強い反発を示したのが、ポータルサイト大手「楽天ふるさと納税」を運営する楽天の三木谷浩史社長だ。

   総務省の動きが報じられた24年6月27日、「プラットホームが負担しているポイントも禁止とか、意味が不明だ」とX投稿で漏らし、次のように思いをぶちまけた。

「小さな自治体が自助努力で財源を確保しようとして、一般の方が楽しみにしている、創意工夫、地方に恩返しという思いをぶっ潰そうとしている。断固反対する。傲慢すぎ」

   この思いは変わらなかったようで、楽天は25年7月10日、ふるさと納税へのポイント付与を禁止する総務省告示の無効確認を求める行政訴訟を東京地裁に起こしたと公式サイトで発表した。「当社のポイント付与の仕組みは、事業効率や寄附者の利便性を高め、ふるさと納税の普及促進に大きく寄与」しているとして、ポイント付与禁止は、「ポータルサイト事業者へ過剰な規制を課すもの」だと主張している。

「高いポイント付与率で寄付を誘引、制度の趣旨と違う」

   楽天の提訴を受けて、三木谷社長も7月10日、「ポイント付与の禁止は、民間企業と自治体のこれまでの連携や努力を否定するものです」とX投稿でその趣旨を説明した。

   同月の参院選では、同社の社員でもある国民民主党公認の比例代表候補がふるさと納税のポイント規制に反対しており、三木谷市長もXで候補を応援する様子を投稿している。

   三木谷社長は、会社を挙げてポイント規制の阻止に動いているが、総務省は、規制を見直すことも考えているのだろうか。

   この点について、同省の市町村課は11日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように答えた。

「10月からは、告示の改正内容を適用していきます。特に、変更することは考えていません」

   理由に挙げているポイント付与の競争過熱については、こう説明した。

「ふるさと納税制度は、お世話になった自治体に感謝して応援するためのものです。ポイント付与率が高いところで寄付しようと誘引することは、税制の趣旨とかけ離れていくことになり、適正ではない募集になります。寄付行為になりますので、寄付先をきちんと選べる環境が大事になります」

   ポイント付与がなくなれば、自治体が事業者に支払う手数料が下がったり、その分を返礼品に充てたりするメリットも期待できるようだ。なお、ふるさと納税では、自治体からお金が流出して住民サービス低下の恐れも指摘されているが、今回のポイント付与禁止は、そのこととは直接関係はないとしている。

   ポイント付与に上限を設けたり、法改正を通じて禁止したりすることについては、楽天が訴訟で主張するとしており、市町村課では、「訴訟に関わるところですので、コメントは控えさせていただきます」と話した。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

記事提供元:タビリス