スノーピーク、スタバ元CEOが新社長就任...一族経営に終止符 手腕はいかに?高価格帯ブランド展開どうなる

J-CASTニュース

   2025年9月30日、アウトドア用品大手のスノーピークが社長交代を発表した。スターバックスコーヒージャパン元CEO(最高経営責任者)の水口貴文氏が10月1日付で社長COO(最高執行責任者)に就任した。

   創業家以外からの社長就任は初めてであり、創業家の山井太前社長は会長CEOとなる。2022年に当時社長を務めていた山井梨沙氏が辞任したとき以来の変革だが、業績回復の切り札になるか。

山井梨沙氏の辞任と業績悪化

   スノーピークの経営面で大きな転換点となったのが、22年9月の山井梨沙社長(当時)の辞任だ。

   就任は20年3月で、当時32歳の梨沙氏は創業家の3代目として抜擢された。デザイナー出身の強みを活かし、アパレル事業を強化。ライフスタイル商品を拡大し、コロナ禍のキャンプブームを追い風に売上を急伸させた。21年度の売上高は前期比53%増の約257億円となり、女性層の開拓でブランドを成長させた。

   しかし、22年度はインフレや円安の影響で業績が悪化。期中に通年業績予想の下方修正を強いられ、梨沙氏は既婚男性との交際と妊娠を理由に辞任した。プレスリリースで詳細を公開し、株価は急落した。

   父の山井太氏が後任に就き、24年7月にベインキャピタルと組んで実施したMBOにより東証プライム上場廃止。以降、再生に向けて外部人材登用の検討を進めてきたとみられる。

戦略転換はあるか?

   梨沙氏はアパレルやライフスタイル商品を拡大し、キャンプブームで会社の売上を押し上げた。

   着物キャンプのようなユニークなコラボも話題となり、もともと高級ブランドとして認知されていた同社の独自性を高めた。ただ、梨沙氏辞任後の業績低迷で株価は上場廃止前まで不安定だった。24年2月にMBOが公になった直後は株価が上昇し、ベインの支援による業績回復への期待が高まった。

   では、水口氏の社長就任で商品展開は変わるのだろうか?

   水口氏がCEOとしてスタバのブランドを強化した経験が鍵になるだろう。就任発表会見で水口氏は「日本の自然観を世界に発信していく、そこに大きな意義を感じた」と就任理由を語った。また、「ブランドには尖っている部分が必要。こうした取り組みでエッジを出していく」と述べ、アパレル強化や顧客接点拡大を強調。今後5年間で年平均成長率10%超(国内外トータル)を目指す方針だ。

   株価は水口新社長就任後から安定しているが、商品展開の方向性はどうなるか。23年冬に発表し話題となった148万円の超高級テント「リゲル Pro. ストーブプラス」のような「尖った」ブランド発信を継続するのか、低価格商品の充実でビギナーへの間口を広げるのか、あらゆる可能性が考えられる。

再上場への期待

   水口社長就任の発表直後、SNSでは「スタバ元社長がスノーピーク?」と驚きの声が広まった。これは、水島氏が身を置いてきた外食チェーンが、スノーピークのブランドイメージからかけ離れている点が大きかったようだ。

   一方、社長交代によって「外部人材で業績回復期待」「一族経営の終わりは新時代」とポジティブな意見も多い。とくに、山井会長がメドについて「最短で27年の年末か、28年の第1四半期」としている再上場への期待も高く、「グローバル化でブランドが変わるかも」といった声も広がっている。スノーピークの未来に注目したい。

記事提供元:タビリス