客員教授と特任教授は何がどう違う? 教授と准教授で給料の差いくら? 大学教員は肩書ひとつで激変する
2025/9/13 16:00 J-CASTニュース

テレビの報道番組、情報ワイドなどに、実にたくさんの大学のセンセイが解説やコメンテーターで出演している。その肩書はいろいろ、教授が一番偉いのはわかるが、准教授と講師はどっちが格上なのか。だれが任命するのか。定年はあるのか。いや、意外と知らない世界だった。
大学内での評価や待遇は雲泥の差
大学教職員の肩書は企業の課長や部長のように、勝手に作って勝手に名乗れるものではない。学校教育法92条で「置かなくてはならない」とされている公的なものなのである。
一番の格上はやはり教授で、「教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者」と定められている。次が准教授で、「優れた知識、能力及び実績を有する者」というのは教授と同じだが、違うのは "特に"が付いているかいないか。能力や研究レベルに大きな差があるわけではないのに、大学内での評価や待遇は雲泥の差だという。
名誉教授に報酬は支払われる?
その下が講師で「教授又は准教授に準ずる職務」で、常勤(専任)講師は准教授待機組、非常勤講師はパートタイムだ。さらにその下の助教は、大学院博士課程を修了した若手が、教授を目指すための研修期間といったところか。助教は博士課程の院生が多く、教授や准教授のお手伝いである。かつては、准教授を助教授、助教を助手と呼んでいた。
教授はどうやって選任されるのか。大学の公募に応じた候補者を学内選考委員会が審査し、推薦されると学長や理事長、総長らが任命する。定年は国公立が65歳、私立は68~40歳が多い。年収は教授で約1100万円、准教授が約860万円、講師が約720万円、助教は650万円くらいと見られている。私立大学は学校によって相当の差もあるという。
このほか、名誉教授はその大学に長く勤めたり、功績があったりした教授の退職後に贈られる称号で、職名ではない。講座や授業は担当せず、報酬は支払われない。特任教授は(1)定年退職後に再雇用となった元教授(2)特定のプロジェクトために研究や講座を担当する教授で、どちらも期限付き雇用。客員教授は大学から 招聘された教授で、特任教授と似ているが、客員教授は自身の「本職」優先、特任教授は大学の運営に一定の責任を持つという違いがある。
英国では地位の高い教授、席次は貴族の次
海外ではどうだろう。教授はどのくらいの地位なのだろう。
極めて高いのは英国である。会食などでは貴族の次の席が用意される。教授以下の序列は准教授、上級講師、講師と日本とほぼ同じ。ドイツは正教授、任期付教授、ジュニアプロフェッサー。
フランスは教授、助教授・専任講師の二つで分かりやすいが、それぞれに特級、1級、2級のランクがある。同じ教授でも、特級教授から2級教授までいるということで、フランスらしい階級社会だ。
米国の大学も教授、准教授、助教授、専任講師という職位だが、大学の規模が大きいからその人数もけた違いだ。学生数約30万人のカリフォルニア大は、2万6000人の教員がいる。ハーバード大は学生2万 2000人に教員2400人。
日本では学生数約2万 8000人の東京大は、教授1352人、准教授 959人、講師316人、助教1313人、助手23 人の計3963人(2025年5月1日現在)だから、教員の多い大学と言えそうである。
テレビ局にとって大学の先生は専門知識でコメントしてもらえるありがたい出演者である。大学にとっては、大学名の宣伝になる。ちなみに、センセイ方のテレビ出演の料は、情報ワイドのコメンテーターで5~10 万円、専門的なゲスト解説の時は10~20万円が相場だという。
(シニアエディター 関口一喜)