日産大波乱の中...スズキはレトルト「インドカレー」発売が話題 一体なぜ?発端は従業員ファーストの心
2025/7/17 20:25 J-CASTニュース

日産自動車が主力の追浜工場(横須賀市)での生産終了計画を発表して騒がれる中、スズキがレトルト商品で「インドカレー」の販売を始め、売れ行きも好調のようだ──という情報がXで話題になっている。
なぜスズキがカレーを売ることになったのか。詳しい話を聞いた。
「発売2日で約5千食を販売しました」
スズキは2025年6月25日、自動車メーカー大手でありながら、全4種のレトルトカレー「スズキ食堂インドベジタリアンカレー」シリーズを発売していた。7月に入って商品化がXで知れ渡ると、「え、スズキがレトルトカレーを...?!」「冗談でしょ?と思って検索したら本当にあったよ」「食べてみたい」などと関心を集め、「普通に本格的でうまかった」「パッケージがとても良い」といった感想も出た。
スズキ公式サイトによると、同シリーズは、かねて本社社員食堂で提供しているカレーをもとに、ブライダルやレストラン事業を展開する鳥善(静岡県浜松市)と共同開発した。
箱型パッケージはスズキの四輪デザイン部が手がけ、味ごとに背景色や柄が異なる。「大根サンバル」はグレーでHAYABUSA、「トマトレンズダール」は赤でスイフト、「茶ひよこ豆マサラ」はオレンジでジムニー、「青菜ムングダール」は緑でV-STROM1050DEといった具合に、車両や食材のイラストが描かれている。公式ECサイト「S-MALL」で税込み918円だ。
スズキ広報部は17日、J-CASTニュースの取材に応じ、実際に多くの客に注文されているとして「発売2日で約5千食を販売しました」と明かした。また「SNSでは、ご購入いただいたお客様が、届いた商品の写真アップや、お召し上がりいただいた感想をコメントされるなどを拝見しており、大変ありがたく感じております」と受け止めている。
インド人従業員を満足させたい→「母親の味」と言われるまでに
早くも大人気ぶりが伺えるが、スズキがインドカレーを扱うようになったのは最近のことではないようだ。同社は多様な国籍の従業員が働いているといい、特に主力市場のインドはベジタリアンが多く、2010年ごろからベジタリアン料理(カレー)を提供していたという。
しかし「日本人に寄った味付けや食材などで、インド人の従業員からは満足度が低い」といった課題を抱え、「インド人の従業員が本当に満足できる食事を提供したい」と考えるように。
同じ浜松に本社がある鳥善に相談し、「その後、弊社のインド人従業員に試食を重ねてもらうなど開発をすすめ、『母親の味』だと認めていただくまでの味となりました」。それを24年1月からスズキ本社食堂で提供を始め、のちのレトルト商品化につながったというわけだ。
スズキは1983年にインドで四輪車の生産を開始してから40年以上。現在では工場を4つ稼働しており、インドの四輪乗用車市場シェア4割以上でトップシェアだと説明する。本社でもインド人従業員は開発部門や事務部門に在籍、インド各拠点からの出張者など、多くの人が働いている。
「浜松と全国、インドと日本をつなぐ存在になって欲しい」
本社食堂では今回商品化した味を含めて13種類のカレーを提供してきたといい、今後、異なるパッケージや他の味も商品化できるように検討していると展望を語る。
レトルトカレーシリーズをめぐっては、「スズキには2つの地元があります。浜松とインドです。その浜松と全国、インドと日本をつなぐ存在になって欲しいと考えております」との思いも。下記のように熱弁している。
「浜松と全国は、このインドベジタリアン料理を開発されミールキットとして提供されている、鳥善様のことを全国に知っていただきたいとの想いです。
インドと日本は、インドでは生野菜を食べることは少なく、ベジタリアン料理というと、このような煮込み料理、スープ料理がメインです。またその種類が各地方で豊富にございます。食事から文化を理解いただけるきっかけになって欲しいという想いです。パッケージの正面に記載している緑色の日の丸のようなマークは、ベジタリアン食を示すマークです。インドなどではこのようなマークがついています。このマークも認知いただき、ベジタリアンの方が日本に来られた際に安心してお食事をとられることができるとうれしいです」