エアコン室外機は外気温何度まで耐えられる?酷暑でざわつくSNS 「50度説」は本当?メーカーの見解は

J-CASTニュース

   危険な暑さが続くなか、日々の生活に欠かせないエアコン。SNSでは、エアコンの室外機は昨今の酷暑に対応するため、外気温50度までを想定して作られているとの情報が拡散された。反対に、少し前に製造されたエアコンは対応する外気温が高くないとして、この酷暑に耐えうるのか心配する声も上がっている。

   こうした情報は本当なのだろうか。エアコンを扱うメーカーに聞いた。

JISでは「外気温43度に対応」が求められている

   ダイキン工業広報グループの担当者は、運転可能な外気温について、「JISでは外気温43度に対応できることが求められています」と説明。その上で、同社では約10年前には45度から46度を想定。約5年前に「昨今の気温上昇を鑑み」、50度に引き上げたという。

   なお、一般的にエアコンが安全上支障なく使える期間の目安は10年だとし、この期間を過ぎると外気温に関わらず徐々に不具合が生じやすくなるため、「ご自宅のエアコンの製造年を把握いただき、毎年夏前の試運転を実施いただくことをおすすめします」とも伝えた。

   日立ジョンソンコントロールズ空調の担当者は、同社製品「白くまくん」は「外気温50度でも冷房運転が可能」とした。この「外気温」について、「運転中の室外機の吸い込み空気温度」だと説明。「ベランダなど狭少スペースに設置した場合、室外機周辺が高温になることがあります」「高温の場合、製品保護のため運転しないことがあります。使用環境により能力が低下する場合があります」とした。

   過去の運転可能な外気温については、「弊社でそのような情報はございませんため、回答を控えさせていただきます」とした。

   「霧ヶ峰」で知られる三菱電機の広報担当者は、冷房運転時の運転可能な外気温は、同社「FLシリーズ」は46度、それ以外の製品は50度だとした。過去の運転可能な外気温の上限については、次の通りだ。

(1)2017年度以前に発売した機種:43度
(2)2018年度~(3)までに発売した機種:46度
(3)2020年度以降に発売したFZ/Zシリーズ:50度
  2022年度以降に発売したXシリーズ:50度
  2023年度以降に発売したR、S、GE、FD、ZD、XDシリーズ:50度

   なお、「運転可能な屋外温度を超えた環境で運転すると、運転効率が落ちて冷房が効きにくくなったり、保護装置が働き運転できない場合があります」とした。

   現在では、3社とも室外機が運転可能な外気温は50度を想定していることがわかった。ダイキン工業と三菱電機では、過去には43度から46度だったものの、20年頃から50度に引き上げていた。

少しでも室外機を長持ちさせるためには

   メーカー各社も昨今の酷暑を受けて室外機の対応外気温を引き上げていることがわかったが、それでも室外機の置かれている場所の状況、製品の製造年や状態などによってはトラブルが想定される。暑さによる室外機のトラブルが相次いでいるとの報道もある。

   少しでも室外機を暑さから守り、長持ちさせるために気を付けておきたいことを聞いた。

   ダイキン工業では、18年7月に「夏場の冷房の『効き』を左右するエアコンの心臓『室外機』 『室外機』の周辺環境を見直して省エネで快適な夏を過ごそう」とのニュースリリースを発表している。そこでは、次の2つをポイントとして挙げている。

「室外機は日陰に設置するか、日除けで直射日光を防ぐ」
「室外機の吹き出し口をふさがないようにする」

   日除けのために室外機から1メートルほど離れた場所に植木を植える、すだれを立てかけることなども勧めている。一方で、吹き出し口をふさいでしまうと「放出した熱風を再び吸い込んでしまうことで、冷却効率が著しく低下」してしまうという。そのため、室外機を板で囲う、カバーで覆うことはしないよう呼びかけていた。

設置場所を選べる場合は「北向きのベランダなどに」

   日立ジョンソンコントロールズ空調の広報担当者も、「室外機の放熱(ファンの吹き出し)を妨げないようご注意の上、日除けなどで遮熱することで、運転効率の低下を軽減することができます」とした。

   さらに、室外機の設置場所の地面や周囲の温度が高くなっている場合も運転効率が下がる可能性があるといい、「室外機の設置場所を選べる場合は、北向きのベランダなどに設置することをおすすめします」とした。

   また、日立ジョンソンコントロールズ空調では、エアコン用の別売部品として「日除けテント」を販売しているという。機種により「適合する日除けテントの型式が異なります」とした。

   三菱電機の広報担当者は、「室外機の上やファンの前などに物を置いたり囲いをしたりして風の流れを妨げてしまうと、室外機周辺がより高温になる可能性があります」とし、「室外機の周りは整理整頓し、風をさえぎる物は置かないようにしてください」と呼びかけた。

記事提供元:タビリス