高級家電バルミューダ、再び赤字転落 スマホ撤退後も続く苦戦...復活の兆しは
2025/11/22 19:00 J-CASTニュース

「BALMUDA The Toaster」などで知られる高級家電ベンチャーのバルミューダが2025年11月7日、2025年12月期通期業績予想の下方修正を発表した。
従来、純利益は1000万円の黒字を見込んでいたが、一転して15億円の赤字予想となった。従業員数約100人規模の企業にとっては小さくはない赤字額だ。一世を風靡した同社に何が起きているのか。
スマホ参入が転機に苦戦
2003年創業のバルミューダは2010年代、独創的なデザインと機能性を兼ね備えた家電で市場を席巻した。10年に発売した扇風機「The GreenFan」、15年の「BALMUDA The Toaster」は大ヒット商品となり、高級家電ブームの火付け役として注目を集めた。
その勢いは止まらず、20年には東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)に上場。北米、中国、韓国、アジア諸国へも進出し、日本発のデザイン家電ベンチャーとして順調な成長を遂げていた。
転機となったのが21年に発売したスマートフォン「BALMUDA Phone」だった。革製品を思わせるデザインが話題になったものの、約14万円という強気の価格設定に対して処理性能やカメラ性能が同価格帯の他社製品との比較にさらされた。
そのため、家電では通用した「デザイン重視・高価格」の戦略が、性能とコストパフォーマンスが重視されるスマホ市場では受け入れられず、販売は低迷。23年に事実上の撤退に追い込まれた。
この苦戦が業績を直撃する。22年12月期の連結純利益は前期比99.7%減の300万円に急減。23年12月期は純利益が20.7億円の赤字に転落した。24年12月期は6700万円の黒字に転換したものの、今回発表された25年12月期の予想では再び15億円の赤字に。従来は1000万円の黒字を見込んでいただけに、見通しの甘さも指摘されている。
深刻なのは売上高の減少だ。25年12月期の売上高予想は前期比21%減となっており、顧客離れの進行もうかがえる。スマホ撤退後も本業の家電事業で勢いを取り戻せていない状況が浮き彫りになった。
新商品投入は継続、ヒットの兆しも
もっとも、バルミューダは新商品を継続的に市場に送り出しており、23年に発売したホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」は発売初週で累計出荷台数5000台を突破するなど、ヒット商品も生まれている。
同社が培ってきたデザイン力と技術力は健在だ。スマホ事業での失敗は痛手だったが、本業である家電分野での強みが失われたわけではない。依然として同社商品のファンも多く、商品開発力への期待は根強い。
かつて高級家電ブームを牽引した気鋭のベンチャーが、再び成長軌道に乗れるか。今後の新商品展開と業績回復が注目される。









