花火大会・祭りの有料化、高額化いったいどこまで 地元住民の不平不満は募る一方だが
2025/8/23 16:00 J-CASTニュース

この夏(2025年)、各地のお祭りや花火大会は大変な賑わいだが、目立ったのは有料観覧席の拡大と高額化だ。
帝国データバンクによると、全国106の主要花火大会のうち約8割が有料席(エリア)を設けていて、一般席の平均は5227円(前年比+1.8%)、テーブルやソファ、グランピングシートなどを設置したプレミアム席(最高値)の平均は3万6193円(前年比+7.2%)。とくに、今年は5万円以上の席が少なくないという。
最も高かったのは、「松江水郷祭湖上花火大会」(島根県)の4人用VIPテーブル席の12万円で、お弁当と飲み物がつき、専用トイレも用意された。
開催費用が年々高騰。とくに警備費がかさむ
花火大会の有料観覧化が広がっている背景に何があるのか。開催費用の高騰である。事故や熱中症などのトラブルの責任が強く問われるようになって、警備費がかさんでいる。
新型コロナ後は有名花火大会に見物客が殺到し、群衆雪崩の防止や通行誘導に、それまでの2倍以上の警備スタッフを配置しなければならなくなっている。全国の大会を平均すると、開催経費のうち花火打ち上げ費用は3割で、6割が警備費だという。
日本三大花火大会の一つで、8月2、3日に開かれた「長岡まつり大花火大会」(新潟県)の開催予算は約18億円。うち花火打ち上げ費は約3億円、会場設営費が約4.5億円、警備や誘導関係の安全・交通費が約4.6億円、人件費が約1億円だった。
一方、収入に当たる観覧料は2000~4万8000円で計12.5億円。足りない分を企業の協賛金や自治体の助成で埋めてもギリギリ。いまや花火大会は有料化しなければ開催できなくなっているのだ。
京都・祇園祭のプレミアム観覧席は15万円
花火大会だけではない。7月17日に行われた京都・祇園祭の山鉾(やまほこ)巡行の有料観覧席は、一般席は4600~6600円、山鉾が90度の方向転換を行う「辻回し」を間近で見ることができるプレミアム観覧席は最前列12万円、2、3列目15万円だった。
プレミアム観覧席は座布団や日よけパラソル、イヤホン解説、冷たい飲み物が用意されるだけでなく、巡行観覧後はホテルオークラ京都でビュッフェ形式の食事つき。外国人の購入が多かったという。
9月12、13、14日に行われる大阪の「岸和田だんじり祭」はお弁当・お茶付きの特別観覧券は1万円、だんじり曳行に参加できる参加券は3万円だ。
旅行やレジャーもただきれいな景色や珍しいものを見に行くだけでなく、参加・体験型になっている。花火や祭りの観覧が有料化しているのも、どうせ見るなら、より近いところで一緒になって盛り上がりたいという気分があるからだろう。
観覧有料化、高額化の花火や祭りはこれからも増えるのか。
イベント会社などはさらに広がるとしている。ただ、プレミアム席がよかったからといって、来年も5万円を払って見に来るだろうか。高額席だけでなく、一般席でも、打ち上げ数が少なく、割高感のある大会は売れ残ることが多くなっている。
また、地元住民からは「われわれの税金を使っているのに、かえって花火が見られなくなったり、混雑やごみ放置の迷惑ばかり」という不満も強い。花火大会や祭りの高額観覧ブームは、今がピークかもしれない。
(シニアエディター 関口一喜)