高価格帯カフェチェーンで明暗 コメダは過去最高益、星乃珈琲店かかえるドトール・日レスHDは苦戦のワケ
2025/10/25 17:00 J-CASTニュース

同じ高価格帯のカフェチェーンでありながら、業績に明暗が出ている。
「コメダ珈琲店」を展開するコメダホールディングス(HD)が2025年3~8月期連結決算で売上高・純利益ともに過去最高を更新した一方で、「星乃珈琲店」を運営するドトール・日レスホールディングス(HD)は減益に苦しんでいる。
原材料高や人件費増という共通の逆風に直面しながら、なぜ両社の業績は対照的な結果となったのか。
ドトール・日レスHD、減益 星乃珈琲店が足かせに
ドトール・日レスHDが10月21日に発表した25年3~8月期連結決算は、営業利益が前年同期比7%減の53億円、純利益が同7%減の39億円だった。売上高営業利益率は6.7%と、前年同期の7.6%から悪化した。主な理由は、コーヒー豆などの原材料価格の高騰と、人件費の上昇だ。円安の影響で輸入コストが増大し、その負担が重くのしかかっている。
主力の「ドトールコーヒーショップ」事業は堅調で、直営店の売上高が同10.1%増の120億円と伸長した。手軽な価格帯と都市部中心の立地が、顧客の日常利用につながっている。
一方、高価格路線の「星乃珈琲店」は直営店の売上高が同1.5%減の88億円と低迷。競合との差別化が難しく、優位性を確保できていない可能性がある。25年に入り、星乃珈琲店は数店舗が閉店して一部はグループ内の他業態へ転換されている。
コメダHD、6%増益で過去最高 独自の魅力で客足伸ばす
対照的に好調なのが、コメダHDだ。同社が10月8日に発表した25年3~8月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比6%増の31億円で、上期としては過去最高だった。売上高にあたる売上収益も同24%増の285億円と過去最高を更新した。
好調の要因のひとつには季節商品による集客効果がある。
たとえば、「ポケモンと、たっぷりくつろご。」キャンペーンでのメニューや、チョコレート菓子の「ブラックサンダー」「キットカット」とコラボしたスイーツ「シロノワール」が好調だった。また、3月にシンガポールでカフェを展開するプーンを買収した効果も寄与している。
コメダHDは26年2月期通期としては、売上収益は17%増の548億円、純利益は12%増の67億円を見込んでいる。
明暗を分けたポイントは「独自性」と「ファンづくり」
同じ高価格帯のカフェチェーンでありながら、コメダと星乃珈琲店の業績に差が生まれた要因は何か。
25年2月末時点で1055店舗を展開する「コメダ珈琲店」は、1968年の創業以来、名古屋式のフルサービス喫茶店として、ゆったりとしたソファと広いテーブル、無料でパンやゆで卵などがつくモーニングサービス、そして「長居歓迎」で「くつろぎ」を提供してきた。さらに、「シロノワール」に代表される独自メニューや季節限定商品、人気キャラクターとのコラボなど飽きの来ない話題作りにも積極的だ。
こうした独自の「おもてなし」と「空間づくり」、そしてブランド体験の創出が、物価高の中でも、客単価の上昇につながりやすくなり、客足を伸ばす強い優位性を確保したといえるだろう。
一方、星乃珈琲店は落ち着いた雰囲気や、品質重視のハンドドリップコーヒーで差別化を図る本格志向という強みはあるものの、こうした高品質路線はコスト増に直結する可能性がある。コメダほどの独自性や話題性を打ち出せていない中で、原材料高や人件費増の影響をより強く受けて業績が圧迫されているのかもしれない。
高価格帯カフェ市場では、単に高品質な商品を提供するだけでなく、独自の世界観やブランド体験の創出、そして熱心なファン層の獲得が、生き残りのカギを握っている。









