Zoff、老舗メガネスーパー買収の衝撃 メガネ業界に地殻変動...「3強」体制へ、再編の動き加速
2025/11/28 18:00 J-CASTニュース

メガネチェーン「Zoff(ゾフ)」を運営するインターメスティックが2025年9月2日、約191億円を投じて老舗メガネチェーン「メガネスーパー」の運営会社を買収すると発表した。かつて業界の「王者」として君臨していたメガネスーパーが、新興勢力の傘下に入ることに驚きの声が上がっている。
インターメスティックは買収により店舗数はほぼ倍の617店舗、売上高は700億円超となる。これで業界は「3強」体制に移行することになり、さらなる再編の動きにも注目が集まっている。
メガネスーパー、新興勢力に押され上場廃止
1970年代から80年代にかけて、メガネ業界ではメガネスーパーなど大手チェーンが台頭し、チェーンオペレーションによる多店舗展開を進めた。当時メガネは高額な買い物で、一般的なメガネ一式をつくるには数万円かかるケースが一般的だった。
メガネスーパーは1990年代にはプロレス団体SWSのスポンサーを務めるなど、さまざまな方面へのスポンサー活動も行い、業界での存在感を示していた。ピーク時の2007年には店舗数は500店超、売上高は380億円に達した。
そんな業界に異変が生じたのは2000年代に入ってからだ。01年にJINSとZoffが相次いで参入し、1万円以下の低価格商品を販売する店が増えた。
メガネスーパーも対抗値下げに走ったが、太刀打ちできず、08年4月期に営業赤字に転落。11年には債務超過に陥り、一時は経営の継続さえ危ぶまれた。その後、13年に星崎尚彦氏が社長に就任して以降、低価格店との差別化を図った「アイケアカンパニー」路線で業績を回復させた。
しかし、23年には、前社長の指示で減損損失を回避するため不適切な会計処理があったことが第三者委員会から報告された。23年10月には投資ファンド「日本企業成長投資」傘下のHorusが株式公開買い付け(TOB)を実施し、24年1月に上場廃止となった。
また、メガネスーパーと同じく老舗のパリミキホールディングスの売上高は2000年代には一時800億円を超えていたが、25年3月期は507億円と落ち込んでおり、従来型大手の苦戦が続いている。
「3強体制」へ 業界地図が塗り替わる
現在、メガネ業界首位は「眼鏡市場」を展開するメガネトップで、25年3月期の売上高は929億円で、全国に約1040店舗を構える。後を追う「JINS」のジンズホールディングスは24年8月期の売上高が829億円、店舗数は736(海外含む)だ。
Zoffを運営するインターメスティックの24年12月期の売上高は448億円。買収するHorusの25年4月期の売上高は281億円で、単純合算すると約729億円となり、JINSに迫る規模だ。業界では異例の大型案件で、インターメスティックは3強の一角に浮上した。
Zoffの顧客は20~40代が中心で、メガネスーパーは40~70代の利用が多いという特徴があり、両社の顧客層は大きく重なってはいない。さらに、メガネスーパーは定期購買の若年層顧客が多いコンタクトレンズ事業に強みを持ち、25年4月期の売上高は約130億円とメガネ事業(約120億円)を上回る。
若者向けの格安メガネで成長してきたZoffにとって、高齢者層とコンタクトレンズ市場の獲得は大きな意味を持つ。
JINSも攻勢 さらなる再編の可能性も
一方で、業界2位のJINSも攻勢を強めている。26年春には東京・銀座に初のグローバル旗艦店を、同年夏には新宿に世界最大の旗艦店をオープンする計画を発表している。
1990年代初頭には約6000億円の市場規模だったメガネ業界は、09年には4000億円を割り込み、ここ10年は4000億円前後で推移しているという(眼鏡光学出版の調べによる)。
近年、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの電子デバイスの普及により、眼精疲労や若年層のスマホ老眼が増加し、また高齢化に伴う老眼鏡や遠近両用メガネなどの需要も増加しているが、市場規模は横ばいが続いている。
少子化が進む中でも市場規模が維持されているため、「パイの取り合い」状況が続いている。このため企業規模が大きいほうが有利であるため、各社は競合他社へのM&Aにも意欲を持っているとされる。
特に今後は高齢者層の取り込みとコンタクトレンズ事業の強化が重要になってくるとみられており、若者層がメイン顧客の格安チェーンにとって、高年・高齢者層を顧客として持ち、コンタクト事業も展開する従来型大手は魅力的な買収対象となる。
今回のZoffによるメガネスーパー買収を皮切りに、業界首位のメガネトップや2位のJINSが次にどのような動きを見せるのか。眼鏡業界の再編劇は、まだ序章にすぎないのだろうか。









