「猫型配膳ロボット」お値段370万円の働き者 飲食業界でロボットが不可欠な存在になる日
2025/11/29 13:00 J-CASTニュース

客席の間をぬって進む猫型ロボット。到着すると「ご注文のお料理をお持ちしましたにゃ!」と音声で案内する。幼い子どもが「猫ちゃん、来たよ」とはしゃぐ。
この猫型ロボットは、中国企業が開発した「BellaBot(べラボット)」だ。客席と厨房を往復し、配膳や下げ膳をする。外食大手すかいらーくグループは「しゃぶ葉」「ガスト」など系列の約2100店に約3000台を展開している。ECサイトで参考価格1台370万円とされている。
配膳ロボットに「満足」は9割、「お子様からの評判が良い」
ロボットが加わると仕事ぶりはどう変わるのだろう。猫型などのロボット導入支援を行う「DFA Robotics」社は2024年4月、配膳ロボットと一緒に働く飲食店ホールスタッフ101人を対象に実態調査をした。それによると、導入に「満足している」との回答が86%、およそ10人中9人に上った。
理由は「配膳・下げ膳業務の負担が減った」66.3%、「他の業務に時間を使えるようになった」49.5%などが多かった。自由回答で「お子さまからの評判が良い」「クレーム対応が減った」といった声も寄せられたという。

DFA Roboticsプレスリリースより
このように人とともに働く目的で作られたロボットは、工場の産業ロボットと区別して「サービスロボット」と呼ばれる。その舞台は、全日空(ANA)の空港ラウンジ、観光地のホテルや旅館、温浴施設、回転寿司などに広がりつつある。
サービスロボットの世界市場を調査した「富士経済」社は、2025年8月の報告で、商業・サービス業分野について「市場は2025年に前年比17.9%増の2,105億円が見込まれる」と拡大を見通している。
200種以上のレシピに対応できる調理ロボット
厨房でもロボットが炒めものに腕を振るう。「熟練のシェフの味を忠実に再現できる」とPRするのは調理ロボット「I-Robo2」だ。2024年に最新型を発売したTechMagic(テックマジック)社によると、チャーハンや野菜炒めなどの炒め・盛り付け・フライパン洗浄を、自動で一気にこなす。200種以上のレシピに対応できるという。「大阪王将」「一風堂」「幸楽苑」などが相次いで導入したため、飲食業界の注目を集める。1台528万円と事業者向けECサイトに表示されている。
回転寿司の厨房でも「寿司ロボット」がシャリを握っている。その誕生は1981年にさかのぼる。きっかけは、政府によるコメの生産調整「減反政策」だった。「鈴茂器工」(東京)創業者の鈴木喜作氏は当時、高級だった寿司を「身近なものにできればコメの消費が拡大する」と考え、苦心の末、シャリを握るロボットを完成した。回転寿司チェーンと歩調を合わせ、寿司の大衆化に貢献した。
北米で人気の「のり巻きロボット」は販売台数5年間で2.5倍
鈴茂器工の寿司ロボットの市場シェアは世界、国内ともに第1位。2025年6月の日経新聞記事によると「のり巻きロボット」は北米で人気が高く、販売台数は5年間で約2.5倍に伸びた。
三菱総合研究所は2020年、大衆向け飲食店舗の2030年時点の未来像として、「食材カットや下ごしらえといった手間のかかる作業はロボットが行い、調理師は仕上げなどの繊細な仕事に集中。配膳はほぼロボットが行ってくれるようになる」と予想した。
ロボットが単純作業を担い、人はコミュニケーションや店の魅力を高める創意工夫に励む。そんな協働が進んでいけば、飲食業界でロボットが不可欠な存在になる日が来るのかもしれない。
(ジャーナリスト 橋本聡)









