物価高は「おでん」の中身にも影響? 人気の具材トップ3「大根、玉子、こんにゃく」値上げどうなる

J-CASTニュース

   冬の足音とともに、スーパーの売り場が鍋料理モードにシフトした。季節の定番といえば温かい「おでん」だが、物価高の波はどのように及んでいるのだろう。最新データから探ってみた。

家族そろって食べる鍋料理の人気トップは「おでん」

   鍋料理をめぐる人気調査を、水産食品メーカーの紀文食品が2025年10月21日に発表した。20代から50代以上の既婚女性1400人を対象にインターネットで調べたという。それによると、2024年の秋から冬にかけて「家庭で食べた鍋料理」のトップは、おでん(56.8%)で、回答者の半数以上が選んでいた。つづいて2位はキムチ鍋(44.9%)、3位すきやき(43.6%)、4位しゃぶしゃぶ(40.9%)、5位寄せ鍋(40.4%)という順だった(複数回答)。

紀文・主要7地域 家庭の鍋料理調査2025より
紀文・主要7地域 家庭の鍋料理調査2025より

   この調査で「誰と一緒に食べたか」という問いでは、おでんを「家族と一緒に食べた」という人が98.1%を占めた。「共働き世帯が増えた中でも、鍋料理は家族そろったときに食べるメニューとして親しまれているのかもしれない」と紀文はみている。

東日本では「はんぺん」西日本では「牛すじ」が人気

   どんな具材に人気があるのだろう。紀文の調査で「好きなおでん種」のトップ3には、1位に大根(65.2%)、2位に玉子(56.6%)、3位にこんにゃく(46.1%)が選ばれている。このほか、もち入り巾着(44.6%)、はんぺん(40.2%)、ちくわ(35.9%)などが続いた。地域によって好みに差があり、東日本の北海道や宮城、東京などでは、はんぺんが好まれ、西日本の大阪や広島、福岡などでは牛すじの人気が高かったという。

紀文・主要7地域 家庭の鍋料理調査2025より
紀文・主要7地域 家庭の鍋料理調査2025より

   物価高の影響が大きいのは、まず玉子だ。農水省の調べで2025年10月30日時点の東京都の鶏卵(Mサイズ)の卸売価格は1キロ当たり330円前後。前年同期より50~60円ほども高い。

   ちくわ、さつま揚げ、はんぺんといった練りものも値上がりしている。紀文は2025年9月、水産練り製品や総菜、正月商品の一部を約5~15%引き上げた。業界では、主原料の魚のすり身の輸入価格や、つなぎに使う卵白の高騰が響いているといわれる。

大根とこんにゃくの値段が落ち着いている

   その一方で、おでんの主役である大根は、10月から値段が落ち着きつつある。東京都中央卸売市場での卸売価格は9月に1キロ当たり160円台と高かったが、10月28日時点で96円前後に下がった。これは2024年同期より2割近く安く、家計にとってはありがたい。農水省は「北海道産は夏の高温による生育不良から回復傾向にあり、千葉県産の出荷が増加する」とみている。

   こんにゃくも使いやすそうだ。一部のこんにゃく製品メーカーが値上げしたものの、農水省は「板こんにゃくの小売価格は、直近10年間では横ばいで推移している」と2025年7月公表の資料で述べている。

   こうしてみると、おでんは値上げ時代にあっても、具材の工夫で食卓に寄り添う「庶民の味方」であり続けている。味がしっかりしみ込んだ「二日目のおでん」の大根や玉子もおいしく、満足感を高めてくれそうだ。

(ジャーナリスト 橋本聡)

記事提供元:タビリス