愛知県のステーションAiがグランドオープン 10/31~11/2にオープニングイベント スタートアップ支援を本格スタート ITイベントレポート:TIDE&WAVE
2024/11/5 14:44 ジョルダンニュース編集部
名古屋発のスタートアップ日本最大の集積拠点は、地方創生、日本再生以上の世界のユニコーンを生み出すか!?
10月、愛知県名古屋市に日本最大のスタートアップ支援とオープンイノベーションの施設「STATION Ai(ステーションエーアイ)」がグランドオープンした。スタートアップ約500社、それらと協業・支援する約200社の事業会社・団体が参加する。起業や新規事業創出など、イノベーションを加速する。「越境の最大地点へ。」をキャッチフレーズに、世界を舞台に活躍するユニコーン級のスタートアップを育成する。
10月31日には、入居するスタートアップ企業の関係者らが集まり、派手目のオープニングセレモニーを開催した。11月1、2日にはオープニングイベントが開催された。スタートアップやイノベーション関係者による多くのトークセッションが企画され、地元あるいは地元出身のVCや起業家が参集した。
シンガポール国立大学(NUS)の起業支援部門「NUS Enterprise」が運営するスタートアップ支援機関「BLOCK71」が「STATION Ai」内に開設した「BLOCK71 Nagoya」のオープニングセレモニーも開催された。日本と東南アジアのスタートアップの相互進出を支援するハブになることを目指す。
リチウムイオン2次電池の発明者でノーベル賞受賞者の吉野彰・名城大学終身教授兼特別栄誉教授は講演で、「最近のノーベル賞はベンチャーに所属する研究者が受賞している」としたうえで、「STATION Aiからも受賞者が生まれてほしい」などと期待を込めた。岸田前総理からもビデオメッセージが送られた。
STATION Aiは、愛知県の大村秀章知事の肝煎りプロジェクト。スタートアップ支援に注力することを決めた大村知事は、フランスのスタートアップ「フレンチテック」の躍進を支える、パリのインキュベーション施設「STATION F(ステーションエフ)をお手本として、STATION Aiを構想した。2019年以来、何度も現地に足を運び、仕組みや理念について学んだという。
2021年には、構想を実現するパートナーとして、ソフトバンクを整備・運営事業者(代表企業)に採択した。100%子会社の「STATION Ai株式会社」を設立し、設計・建設・運営を担っている。ソフトバンクの宮川潤一社長は愛知県犬山市の出身で、単なる仕事というだけでなく、「地元愛」をもって取り組んでいると言われる。そのほか、三菱UFJ銀行やみずほ銀行、三井住友銀行、トヨタ自動車などの大手企業がパートナーとして、活動を支える。
このほど、名古屋市内の鶴舞公園に完成した施設は総工費150億円あまりをかけた日本最大のスタートアップ支援拠点だ。延べ床面積約23,600平方メートルの地上7階建ての施設で、スタートアップ企業やパートナー企業向けのオフィススペースやラボ、イベントスペースなどがある。部屋の仕切りを少なくし、各階の間に中間的な階層も設けられ、入居者同士の活発な交流を促進する仕組みだ。
宿泊施設は、北海道日本ハムファイターズの本拠地球場「エスコンフィールド」の宿泊施設を手掛ける株式会社SQUEEZE(スクイーズ、東京都渋谷区、舘林真一代表取締役CEO)が運営する。建物内には、障害のあるアーティストが描くアート作品を販売する株式会社ヘラルボニー(岩手県盛岡市、松田 崇弥・松田 文登代表取締役Co-CEO)のアーティスト47名によって描かれた152点のアート作品を購入・設置した。
STATION Ai株式会社の佐橋宏隆・代表取締役社長兼CEOは、1日のアフターパーティーで「スタートアップに価値のある拠点を作る。要望をいただければ、『超速』で変えていく」と話した。
STATION Aiは始まったばかり。ユニコーン級のスタートアップを育成し、日本経済を活性化する使命を果たせるかどうかは、STATION Ai自身が、時代や社会に合わせて変化し、成長できるかどうかにかかっているのかもしれない。
文・写真/高杉創