無人タクシーとテキサス新幹線 「希望のコミューン 新・都市の論理」より(3)

ジョルダンニュース編集部


希望のコミューン 新・都市の論理

本記事は9月25日に出版された「希望のコミューン 新・都市の論理(著:布野修司, 森民夫, 佐藤俊和)」の内容を抜粋したものです。

無人タクシーとテキサス新幹線

2023年8月12日、朝日新聞の朝刊に、移動に関わる二つの記事が掲載された。一つは、「無人タクシー、24時間街を走る」というタイトルで、米カリフォルニア州当局が自動運転車による「完全無人タクシー」の24時間営業を認めたという記事。もう一つは、JR東海が支援する米新幹線計画にアムトラックが参画することが決まったという記事である。移動についての章を一気に書き始めようと思ったその日の朝刊に、アメリカの動きが掲載されたということに、不思議な縁を感じる。
初めの記事「無人タクシー、24時間街を走る サンフランシスコで認可 普及へ一歩、安全面・雇用に課題」は次のように言う。

米カリフォルニア州当局は10日、米グーグル傘下ウェイモと米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下クルーズの2社に、サンフランシスコ市内で自動運転車による「完全無人タクシー」の24時間営業を認めた。普及に向けた大きな一歩だが、安全面では課題も残る。
「今日の認可は、サンフランシスコでの我々の商業運行の本当の始まりだ」。ウェイモのテケドラ・マワカナ共同最高経営責任者(CEO)は声明でそう訴えた。同社は今後数週間で、有料の無人タクシーサービスを市内全域で始めるという。
7日夜、クルーズの無人タクシーを利用してみた。スマートフォンのアプリを開いて目的地を入力すると、7分ほどで運転手がいない車が道路脇に止まった。車内に乗りシートベルトを締め、画面の「運転開始」のボタンを押すと、ゆっくりと車は走り出した。
クルーズは昨年6月、同州当局から完全無人運転の商用運行の認可を得て、同市の一部地域で深夜から早朝までの間、タクシーサービスを始めた。今回の認可で24時間、市内全域で運行できるようになる。
全米の主要都市の中でも坂が多く、霧などの悪天候に見舞われるサンフランシスコは、全米屈指の自動運転の「実験場」となってきた。ウェイモとクルーズは同市内で現在、計500台以上の自動運転車を保有している。自動運転に詳しいオレゴン大のニコ・ラルコ教授は「自動運転の拡大に扉を開きうる重要な決定で、全米の議論に影響を与える」との見方を示した。(サンフランシスコ=五十嵐大介)

中国では、IT大手の百度(Baidu)が2020年8月から北京で自動運転タクシーサービスを開始、その後、上海、広州、重慶、滄州、重慶、武漢とエリアを拡大している。アメリカも負けじと動き出したのである。次の記事「アムトラック参画、追い風か JR東海が支援の米新幹線計画」は次のようである。

JR東海が技術支援する米テキサス州の新幹線計画に、全米鉄道旅客公社(アムトラック)が参画することが決まった。全米規模で旅客鉄道を運営する同社が加わることで、事業費の資金調達で追い風になるとみられる。
アムトラックが9日、発表した。この計画は、ダラス│ヒューストン間の約385キロを約90分で結び、事業主体のテキサス・セントラルが東海道新幹線の「N700S」をベースとする車両を導入する。
東海道新幹線方式のシステムが採用される予定で、JR東海が運営やメンテナンスの計画作成など技術面で支援をしている。6月には、主要7カ国(G7)交通相会合で来日した米国のブティジェッジ運輸長官が、東京都内にある総合指令所を視察。同社幹部から新幹線の運行管理について説明を受けた。計画では、2021年着工、26年開業予定としているが、コロナ禍による景気減速もあって大幅に遅れている。事業費は約2・8兆円とされ、公的資金に頼らず、民間資金でまかなうとしている。資金調達のめどが立つことが着工のカギとなる。
米国の大手鉄道事業者が参画したことで計画が進むとの観測が高まりそうだ。JR東海の広報担当者は「米国の鉄道事業での豊富な経験とノウハウを生かせれば計画推進の力になると期待している」と話す。(高橋豪)

この後、詳しく述べるが、日本の新幹線は、モータリゼーションの時代が始まると誰もが考えたとき、作られ始めた。東京│大阪間から始まり、日本全国に拡大、日本の経済成長のインフラとなった。中国もそれを真似、今では総延長キロ数は飛躍的に増えている。アメリカもようやくそこに気づき始めた。


全文を読むには書籍「希望のコミューン 新・都市の論理」をご購入ください。
電子書籍もあります。
記事提供元:タビリス