三木谷氏、モバイルビジネスでの世界挑戦を強調 ピッチ優勝者はWOTA 海外企業やVCとの連携の機会を提供 世界につながる成長産業カンファレンスGRIC2024 ITイベントレポート:TIDE&WAVE
2024/11/19 14:42 ジョルダンニュース編集部
現代社会の水利用の課題に取り組む“ストレイト・アヘッド”なる注目ベンチャ
フォースタートアップスとCIC Tokyoが仕掛ける成長産業カンファレンス「GRIC2024」が、11月12日から14日にかけて開催された。5回目を迎える今年は、「日本のスタートアップエコシステムをグローバルへ」を合言葉に、国内の成長産業やスタートアップを世界の舞台へと押し上げる、熱気あふれる3日間となった。その模様をレポートする。
「最優秀賞はWOTA」。最終日のプログラムのクライマックス。主催者を代表して、受賞者を発表した志水雄一郎フォースタートアップス社長の声が響いた。
今回のGRIC PITCHは、環境関連を対象とする「GREEN」、医療やヘルスケアを対象とする「HEALTHCARE」、ITやロボティクスなどを対象とする「UPRISING DIGITAL」の3つのテーマで、スタートアップ17社がファイナリストとして登壇した。
GREEN賞部門では、水を再生処理する技術を持つWOTA(東京都中央区)が選ばれた。水道のない場所での水利用を実現するポータブル水再生処理プラント「WOTA BOX」、水道のない場所に設置できる新しい手洗いスタンド「WOSH」を開発している。HEALTHCARE賞部門を制したユナイテッド・イミュニティ(東京都中央区)は、ナノテクノロジーと免疫療法の融合技術で、難治性がんの克服に挑む。UPLISING DIGITAL賞部門は、東京工業大学(現東京科学大学)発スタートアップのハイボット(東京都品川区)が選ばれた。
有力な経営者の登壇も相次いだ。とりわけ多くの観客が詰めかけたのが、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長の講演だった。三木谷氏自身、「こんなにたくさんの人が集まっていただいてるのも、やっぱり挑戦してるっていう会社だっていう認識があるんじゃないかなっていう風に思うんですよね」と話した。そのうえで、楽天市場を開始した当初の挑戦の軌跡を振り返った。「ブラウン管のディスプレイで、通信もアナログで、速度も14.4kbpsと今の 10万分の 1 ぐらいだった。最初の月の楽天市場の売上は約 32万円、そのうち、 20万円ぐらい私が買ってましたんで、実際の流通総額は月 12万円ぐらいだったわけですよね。何で買ったのかということを分析しまくって、我々は新しいマーケットプレイスを作った」。
現在はモバイルビジネスの革命に挑んでいる。単に料金が安い電話サービスを手掛けているわけではないことを強調した。「きわめて古い携帯のネットワークのアーキテクチャーをソフトウエア化した拡張性も付け加える。このソフトウエアを世界で販売する。現在世界で50社弱の企業が採用している。これを200社、1000社と増やしていく。これまで日本のソフトウエア会社ができなかったことを実現しようとしている。また、我々は 2026 年には衛星から直接携帯を使えるようにする。出資先の「AST スペースモバイル」がサービスを開始する。これも最初は誰も信じなかったんですけど、 我々が最初の資本金300億円を出して始まりました」
日本のスタートアップを世界に送り出すという理念も、イベントの中で着実に実行されている。中でも、効果的だとみられるのは、「スピードデーティング」だ。ベンチャーキャピタルや事業会社の投資部門とのミーティングだが、ラグジュアリーブランド世界最大手のフランスのLVMHやドイツの自動車部品大手ボッシュ、VCではフランスのユーラゼオ、シンガポールのバーテックスベンチャーズなどが参加した。
GRIC PITCHで最優秀賞となったWOTAは、来年パリで開催されるテックイベント「ビバテクノロジー」に出展する権利を与えられるという。世界とつながるGRICが、日本のスタートアップのグローバル展開を支援する。
(ジョルダンニュース編集部)