NTT島田社長「スタートアップと世界へ」 連携強化 成長分野投資8兆円から ITイベントレポート:TIDE&WAVE

ジョルダンニュース編集部

AI関連のSakana AI(サカナエーアイ)への出資事例も紹介

グループ会社のCVC、NTTドコモベンチャーズのカンファレンスで講演するNTTの島田明社長

NTT島田社長「スタートアップと世界へ」 8兆円投資、連携強化

NTTの島田明社長は11月22日、東京都内で開催されたグループのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル、NTTドコモベンチャーズのカンファレンスで講演し、「スタートアップの皆様と力を合わせ、新たな価値を世の中に送り出していきたい」と述べ、スタートアップとの連携を強化する考えを示した。同社は2027年度までの5年間で、成長分野に8兆円を投資する計画。最新技術や斬新なアイデアを持つスタートアップとの協業を加速し、新規事業の創出や社会課題の解決を加速し、収益拡大につなげる。

島田社長は、NTTグループが国内外で約1000社の連結子会社を抱え、通信事業にとどまらず、幅広い事業を展開している点を強調。2023年度の海外売上高は2.8兆円に達し「グローバルビジネスは順調に拡大している」と述べた。

その上で、2023年度からスタートした中期経営戦略について説明。「新たな価値創造と地球のサステナビリティのために挑戦し続ける」とし、2027年度までの5年間で、成長分野に8兆円を投資する計画を改めて示した。重点分野は「IOWN(アイオン)による新たな価値創造」「データドリブンによる新たな価値創造」「循環型社会の実現」の3点。

NTTグループは有望なスタートアップに投資している。(プレゼン資料の投影画面)

スタートアップとの連携事例として、IOWN構想の実現に向けた協業では、AI関連のSakana AI(サカナエーアイ、東京都港区)への出資事例を紹介した。魚類養殖のリージョナルフィッシュ(京都市)とは、NTTドコモベンチャーズから出資した上で、NTTと共同出資会社を設立、静岡県磐田市で12月に稼働開始予定の国内最大級のエビ陸上養殖施設については「グループ各社で水産業の課題解決や付加価値向上に取り組み、産業振興、地方創生に努める」と強調した。スマートロボットのugo(東京都千代田区)には、同じくドコモベンチャーズから出資した上で、NTT西日本と協業サービスを始めた。

さらに、海外スタートアップとの連携強化に向け、今年から「NTT Startup Challenge」を開始したことも説明。東南アジア各国から700社以上の応募があり、14日にはジャカルタで最終選考会を実施したという。島田社長は「今後もスタートアップとNTTグループのアセットを掛け合わせ、グローバルにおける社会課題の発見と迅速な解決に取り組む」と語った。

東南アジアでのスタートアップ発掘・連携も強化する

島田社長は講演の最後に、会場に集まったスタートアップ関係者に対し、「皆様の熱意と革新的なサービスやテクノロジーを我々に提供してください。NTTグループと一緒に、みなさまのビジネスを世界に広げていくことが可能になると思っています。 NTT グループの社員のみなさん、ぜひ社外の方々と手を取り合い、オープンイノベーションを実現していきましょう」と呼びかけた。

(ジョルダンニュース編集部)

記事提供元:タビリス