「メタバース」内で変わるアーティストの定義 アートが変える社会と経済

ジョルダンニュース編集部


アートが変える社会と経済: AI、NFT、メタバース時代のビジネスと投資の未来

本記事は書籍「アートが変える社会と経済: AI、NFT、メタバース時代のビジネスと投資の未来(著:倉田陽一郎)」の内容を抜粋したものです。

現代アートの最高峰としてあげられる一人に、ドイツのゲルハルト・リヒターがいます。

アウシュビッツ収容所の囚人たちが隠し撮りをした写真をもとに描いた「ビルケナウ」の制作でも知られています。彼の作品はオークションでも高額な値段で落札され、現存している画家として史上最高額の26億9000万円がついたこともあります。

そうした巨匠がいる一方で、SNSなどで世界的に有名になったKAWSのようなアーティストも出てきて、現代はアーティスト世界の領域が大きく広がってきています。

今、グラフィックやアニメーションのようなものも「アート」として成り立ち、アートは大きな拡がりをみせはじめています。スマホを利用したり、SNSを利用したり、さまざまなメディアでアートが発信され、多種多様な試みがなされています。そして今、現実の世界で作るアートから、多次元空間とも言えるメタバース内でもアートの試みが始まろうとしています。

現実の社会でも、たとえば2021年の東京オリンピックを見れば、スケートボードだったり、サーフィンだったりと、身近なスポーツがオリンピックの競技に加えられ、頂点に上り詰める若いアスリートが次々と生まれる時代になっています。一方で音楽を見ても、高校生が内緒でYouTube に上げた動画から、大ヒットが生まれるような時代になっています。

音楽に続け。アートもコミュニティが育ていく時代へ

アートの世界において、昔はパリに留学して、苦労の末にパトロンを見つけた人が、何万分の一の確率で成功者になっていくようなイメージでしたが、今やそれは前時代的なものになってきました。

確かにかつては画商やコレクター、あるいは王侯貴族や資本家のように、売れるまでアーティストの面倒を見ていくパトロンがアート業界には必要だったのかもしれません。しかし、ブロックチェーン上のトークンによるシェアリング・エコノミーにより、コミュニティがアーティストを育てていく時代になれば、アートが好きな一般の人たちがみんなでアート市場を支え、育成し、拡大していくことが可能になります。となると、身近なところからアーティストが出てきて、大きく育っていく可能性が出てきます。

それこそファンが仲間を募ったり、自分で情報を発信して多くの人に作品を知ってもらう可能性は大いに出てきます。

たくさんの人が作品をシェアし、価値を上げていくことで、アーティストは成功し、アーティストに関わるすべての人の人生が豊かになります。その結果、アーティストの存在価値はますます上がっていくのです。

考えてみれば、今、アートで起こっていることは、音楽やエンタメの世界ではすでに主流となっています。YouTube やTikTok を使って有名になる人たちは、誰かが仕掛けているわけではなく、それを見た人たちがさまざまな形で拡散して、その人気を確立していきます。

アートでも、そのような形で有名になる作家も出てきていますが、そういった作品を管理していくために、ブロックチェーンを使ってトークンでシェアリング・エコノミーを確立すれば、さらにそのアーティストの作品価値は大きく成長することになります。そして、アートの市場規模は、これまで以上にはるかに巨大なものになっていくと思います。

そんな世の中になると「アーティストになる」という選択肢が広がり、より多くの人たちがアーティストとしての人生を謳歌することができるようになります。

売れないアーティストが一生懸命にバイトなどをしながら、やっと成功のきっかけをつかむ……。それはそれで美談ですが、シェアリング・エコノミーにより、アーティストとして生きていきたいがそうもできない、数多くの才能のあるアーティストが世に出るチャンスを得ることも可能になります。

まさに、アートを真に愛する人たちの領域が拡がることで、アート市場は大きく成長する可能性を秘めているのです。


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記事提供元:タビリス