農業技術や食品加工技術が発展した歴史を持つ、イスラエルのフードテックがすごい! 培養「ウナギ」やストレス軽減など ITイベントレポート:TIDE&WAVE

ジョルダンニュース編集部

この分野にもAIが活躍。栄養補給バー、代替再構成で、持続可能な食品生産や新しい健康食品の開発に注力

世界有数のスタートアップ大国イスラエルから、食品テクノロジー(フードテック)分野で注目を集める8社が来日した。画期的な技術とアイデアを携えて日本市場への本格参入を目指す。日本の食品関連のメーカーや商社などと連携し、日本の食産業に新たな革新の波を起こそうとしている。

今回来日した企業群は、世界的に注目を集める培養肉技術から、植物由来の代替タンパク質食品、革新的な代替砂糖、そしてAIを活用した健康管理システムまで、幅広い分野から選抜された。

発表会場で特に注目を集めたのは、培養ウナギを開発するスタートアップ企業、Forsea Foods(フォーシーフーズ)。発表を終えた後、ランチ時間帯に、「培養ウナギ」を展示した。日本の法律で、試食はできないものの、一匹分の見た目は本物に近いものだった。香りは蒲焼そのものだった。

フォーシーフーズが開発した培養ウナギの蒲焼

ウナギは絶滅危惧種の一つであり、一方で、日本人のウナギに対する「食欲」は相変わらず旺盛で、日本市場では高価格も容認されている。コスト高が普及のネックになりがちな培養肉にとっては、ウナギは採算に乗りやすい格好のマーケットだ。同社は、2029年に市販のウナギと同じ価格での提供を可能にするコスト削減を目標としている。

同社の細胞培養方法は、脂肪と筋肉から成る3次元のマイクロ組織形成を実現するオルガノイド技術を応用している。自然界で行われる細胞形成のプロセスを模倣し、食用に適した細胞に自然と分化する仕組みだという。添加する成長因子が少なくてすむので、効率的かつコストパフォーマンスの高い生産が可能になるという。

MyAirは、食べ物によるストレス解消を目指している。独自のAIアルゴリズムを利用して、個人の状況に合わせた、栄養補給バーを提供する。ディーププロファイリングと呼ばれる技術を基に、消費者の固有のストレスプロファイルと心理的ニーズを分析する。

MyAirはストレス解消につながる食品を提供する

6種類のストレス状態(心を穏やかに、エネルギー補給、より良い眠りを、心地よさを求めて、リラックスしたい、集中力を高める)に対応した12種類の栄養補給バーを展開している。ハーブエキスをブレンドするのが特徴。素材を植物由来に限定しており、デーツ&ナッツ、オーツ、バナナ&ナッツ、オーツ、チョコレート&クランベリーの3種類のフレーバーから選べる。

AIの活用が目立った。AKA Foodsは、AIを活用し、既存の製品を植物由来の代替品に再構成するサービスを手がける。製品開発を工夫し、食感や味覚の類似性を高める。市販の原材料を使用することで、コストを最適化し、規制も遵守する。

イスラエルはかねて、水資源や土地が限られている中で、革新的な農業技術や食品加工技術を発展させてきた。食糧確保は国家的な課題であり、フードテックに対しては、基礎的な強みがある。持続可能な食品生産や新しい健康食品の開発に注力している。 今回、プレゼンテーションの後、午後は、日本の食品メーカーや商社などとの商談会が開かれた。日本は食糧自給率は低く、食事に問題を抱える高齢者も増えている。日本企業とイスラエル企業の連携で、新たなビジネスモデルを構築することが期待される。

イスラエルのフードテック・スタートアップ

Resuger砂糖の味と性質を再現しながら、糖分とカロリーを大幅に削減した天然の砂糖代替品「Resugar Synergy」を開発
WandaFish革新的な技術を駆使し高級トロ・クロマグロなどの持続可能な細胞培養魚製品を生産
Forsea独自のオルガノイド技術を活用し培養食肉会社であり、ウナギを始め様々な魚介類市場へのスケールアップと拡大を目指している。
myAir科学とテクノロジーを融合させ、ストレス回復力と全体的な幸福感を向上させるよう設計された個別栄養ソリューション
Carobway低GI甘味料、プレバイオティクス、その他の優れた利点と豊富な用途を持つ先見性のあるクリーンラベル製品を革新します。
ANINA廃棄される農産物を100%ナチュラルで栄養豊富な調理済みミールポッドに変身させます。
AlephFarms持続可能で倫理的な細胞農業を開拓する培養肉企業、世界初の培養ステーキを開発
Novella細胞農業への革新的なアプローチにより、植物全体を栽培することなく資源消費を94%大幅に削減し機能的な原料を生産。
AKA FoodsAIを活用したNPDテクノロジーにより既存の製品を植物由来の代替品に再構成することができます。

ジョルダンニュース編集部

記事提供元:タビリス